🖤 ̖́- 京の𝐥𝐨𝐧𝐠 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲

第1章
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暗い照明のリビング。
壁のスピーカーから流れていたのは、父がかつてバンドで歌っていた楽曲。

幼い京は、ソファの端でその音に体を揺らしていた。
歌詞はまだ覚えきれていないけれど、音の流れは肌に馴染んでいた。

「……なあ京、おまえにも音楽の血が、ちゃんと流れてるみたいだなぁ?」

唐突に父が口にした。笑いながら、けれどどこか真剣な目だった。


その隣で母が微笑む。

「この子、歌を聞くと、目の動きが変わるのよ。まるで音を“視てる”みたい」

京はその言葉の意味はよく分からなかった。
ただ、メイクブラシを手に鏡の前に座る母の背中を思い出していた。


——目に映るものを変えられるって、すごいな。


母が施すメイクは、傷を隠す術でもあり、魔法のようだ。

小学生のある日、木登りで左目の下を強く切った。
その傷をどうしても隠したかった京に、母は初めてファンデーションとコンシーラーの使い方を教えてくれた。


「これは“隠す”んじゃない。“選ぶ”のよ、見せたい自分を」


その言葉が、胸に残った



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