💚 ̖́- 蒔採の𝐥𝐨𝐧𝐠 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲

第1章04
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スクールに通いはじめて半年が経った頃、
蒔採の中にはある種の焦りと苛立ちが芽生えていた。


表現力の不足を指摘されるたび、鏡の中に映る“未完成な自分”に目を背けたくなった。

けれど、そうして逃げるたびに思い出す——あのときステージで見た少女の、誰のものでもない笑顔。


(あんなふうになんて、なれない……でも、奪いたい)


ただ追いかけるだけでは届かないと知った蒔採は、
ある日自分のステージングを撮影し、それを何度も何度も見返した。

撮ることでしか理解できないものがあると、彼は本能的に知っていたのだ。


レンズ越しに見た自分は、どこか空虚だった。

けれど、同時に可能性も見えた。

「魅せること」と「奪うこと」の狭間に立ち続けながら、蒔採は少しずつ変化していった。

感情を真似ることから始め、自分の欲望すらも表現の一部にするような演技。


やがて、蒔採のパフォーマンスは講師の目にも止まるようになった。

個性は強すぎるほどだが、他にはない存在感がある。

その評価が、彼をあるオーディションへと導くきっかけとなる。



第1章【完】
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