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💛 ̖́- 翡馬の𝐥𝐨𝐧𝐠 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲

最終章
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高二の冬。

スタジオの窓から見える空は、低く、白かった。
翡馬は床に座り込み、タオルで汗を拭きながら天井を見上げていた。


――一人では越えられない壁。


あの日から、その言葉が頭を離れない。

「……せやけど、逃げる気はあらへん」

誰かに頼ることと、甘えることは違う。
自分の足で立ったまま、誰かと並ぶこと。


それが今の自分に必要なことなのだと、翡馬はようやく理解し始めていた。



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数日後。
LUXISの会議室で、鳳千弘は静かに口を開いた。

「ユニットオーディションを開催します」

その言葉に、翡馬は息をのむ。


「あなたが中心よ。選ばれるのも、選ぶのも」


資料には、参加条件と簡単な概要だけが記されていた。
完成された形を求めるものではない。

“これから一緒に進めるか”を見るためのオーディション。

「……俺、声かけてもええんですか」

「ええ。むしろ、あなたの言葉で伝えなさい」



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翡馬は、何人かのアイプリの顔を思い浮かべた。

そして、まず最初に声をかけたのは——

「蒔斗、ちょっと時間ええ?」

背の高い後輩は、一瞬だけ驚いた顔をしてから、静かに頷いた。

「今度ユニットのオーディションやんねんて。蒔斗さえよかったら…俺と、一緒にステージ立たへん?」

水瀬蒔採は、少し考えるように視線を落とし、それから短く答えた。

「……あなたが“中心”なら。興味はあります。」

その返事は淡々としていたが、確かに前を向いていた。



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同じ頃。
鳳千弘は別のスタジオに足を運んでいた。

「御門京。ユニットの話よ」

不意の呼び出しに、京は眉をひそめた。

「うちの翡馬が中心になるユニット。オーディション形式で選ぶわ、興味あるでしょう??」

「……俺が?」

「ええ。あなたには“選ばれる側”を経験してほしいの」

短い沈黙のあと、京は小さく息を吐いた。

「……受けてやるよ。オーディション。」



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オーディション当日。

スタジオには、静かな緊張が満ちていた。

課題は三つ。
歌、パフォーマンス、そして“空気”。


翡馬は、審査席ではなく、同じ床に立っていた。

一人ひとりの声。
視線。
呼吸。

自分の隣に立ったとき、どんな景色が生まれるのか。


そして、最後に残った名前は、二つ。

水瀬蒔採。
御門京。


「……お願いします」

翡馬は深く頭を下げた。

「俺、一人では届かんところに行きたいんです。
そのために——力、貸してください」

二人は、少しだけ視線を交わし、それぞれに頷いた。



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後日。

鳳千弘は、三人が並ぶ姿を少し離れた場所から見ていた。

(やっとね)

一人の光が、二つの光と重なろうとしている。

それは、完成ではない。

けれど——


確かに、始まりだった。

ステージの先には、まだ見ぬ未来が広がっている。


翡馬の挑戦は、ここで一区切りを迎え、
新しい物語へと、静かに歩き出した。




【完】
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