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💛 ̖́- 翡馬の𝐥𝐨𝐧𝐠 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲

第6章02
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翡馬はキョトンとしながらも、素直にうなずいた。

「……はい。あ、あの、どちら様ですか?」



女性は少しだけ口元を上げる。

「あたしは、LUXISプロダクションの代表をしている鳳 千弘。
NEW✴STARアイプリオーディションの主催者よ」

「えっ!?」とスタジオがざわつく。



「——あなたのこと、前から注目してたの」

名前に聞き覚えはあった。LUXISといえば、最近話題のプロダクション。
斬新なステージや感性重視の演出で急成長中の“新しい風”。

けれど……なんで、

「どうして俺なんですか?」



そう聞くと、鳳はふっと微笑んだ。

「あなた、ステージに立つと“自分のため”じゃなく、“誰かのため”に踊ってる顔になるのよ。
そういうアイドル、滅多にいないわ」



翡馬は、言葉に詰まった。

誰かのために。そんなつもりはなかったけれど——

ふと、思い出すのは初ステージで客席にいた小さな子の笑顔。
配信で「元気出ました!」って言ってくれたコメント。
ファンレターで「今日も頑張ろうって思えました」って泣きそうな言葉をくれたあの人。



「……俺、うまくないですよ。まだまだ歌も課題だらけで。
ダンスも、もっと上がおるし……」



「完璧じゃなくていいの。あたしはアイドルを“商品”としてじゃなく、“表現者”として育てたいのよ。
だから、ただうまいだけの子には声をかけない。
でもね——あなたは、見ている人を元気にする。そこに、嘘がないのよ」

鳳はきっぱり言った。



「あたしが見てるのは、“輝く瞬間”があるかどうか。
あなたにはある。舞台に立ったとき、誰かの心を打つ力があるわ。
あたしの目に狂いはないつもりよ」



真剣なまなざしが翡馬を射抜く。冗談なんかじゃない。
この人は、本気だ。アイドルとしての翡馬に、心から賭けようとしている。



「だから、スカウトに来たの。——LUXISに、来ない?」

そう言って差し出された名刺。


“代表取締役社長・鳳千弘”の文字。

「……俺が、ですか?」



「えぇ。あなたがほしいの。その“光”、あたしが信じてあげる」



しばらく黙っていた翡馬は、やがてゆっくりと頷いた。

「——よろしくお願いします。俺、やってみたいです。
まだまだ未熟ですけど……もっと“伝えられる人”になりたいんです」



そのとき、鳳はふっと柔らかく笑った。

「いいわ。じゃあ、その“まだまだ”を育てるのがあたしの仕事ね」



そして彼女は、立ち上がりながら一言、こう言った。


「ようこそ、LUXISへ。
これから忙しくなるわよ——“星”になるって、けっこう大変なの」




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