中学時代。
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「ただいまーっ!」
ドアを開けるといつものように玄関マットの上にクロがいた。
「ニャオ」と短く鳴き、私と千堂くんに「おかえり」と言ったような気がした。
「おう、邪魔すんで。お出迎えサンキューな。」
わしゃわしゃとゴツい手で頭を撫で回されクロは嬉しそうに目を細め、擦り寄った。
何とも微笑ましい光景に自然と笑みが零れる。
「名前ね、クロにしたんだ。」
「ええやん。コイツも気に入っとるみたいやで。なあ?」
その声に応えるようにクロがまた「ニャオ」と鳴いた。
「すごい。もしかして千堂くんって猫と喋れるの?」
「当たり前やろ。百瀬は喋れへんのか?」
「何となくくらいならわかるんだけど」
「ほんなら大丈夫や。ワイが今度教えたるさかい。」
「本当?ありがとう。楽しみっ。」
靴も脱がずに框に座り話し込んでいると奥から母が出てきた。
「もう、はな帰ってるなら…ってあら?やだ、彼氏?」
からかうようにニヤニヤと嫌な視線がこちらを向いた。
「違うよっ!ほらっ、クロ拾ってくれた男の子!前に話したでしょっ!」
「ああっ!なるほどねえ〜。いや、奥手なアンタにしちゃ早いなと思ったのよ〜。」
「もう、辞めてよ、千堂くん困ってるでしょ!」
未だに面白可笑しそうにからかう母を若干睨む。
「ごめんごめん。いきなりごめんね、千堂くん。ゆっくりして行ってね。」
「いや、おおきに。ほな、お邪魔します。」
靴を脱ぐ千堂くんを視界の端に捉えながら初めて男の子を部屋にあげることにドキドキが止まらなかった。