中学時代。
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大阪に引っ越して来て一カ月半。
ようやく関西弁にもこの通学路にも慣れて来た。
千堂くんにまた会えないかな。
キョロキョロ歩いていると逞しい肩にぶつかった。
「ワレどこ見て歩いとんや!」
威圧的な怒鳴り声に反射的に身が縮む。
「ご、ごめんなさいっ!」
「あっ、ワレ!こないだの女!」
よく見たらこの間投げ飛ばしたような気がする男の人だった。
運悪すぎ。最悪。
引き攣る顔で笑顔を取り繕う。
何とかしてこの場を去りたい。
「えーと…、人違いじゃないですか?」
「なめ腐りやがって!クソアマ!」
男が拳を振り上げ物凄い勢いで近付いてくる。
あっ、ヤバい。この至近距離は流石に無理。
咄嗟に腕で顔を覆う。
が、しばらくしても予想していた衝撃は襲ってこない。
不思議に思い、ゆっくり目を開ける。
目の前に誰かいた。
広い背中。
見覚えのある学ラン。
鋭い猫目。
千堂くんだった。
頬に思い切り相手の拳を受け、なお飄々とした表情に言い様のない威圧感を覚える。
相手も同じ感覚を抱いたらしい。
千堂くんはゆっくりと怯えたように後退る相手に躙り寄りながら蔑むような低い声を発した。
「いくら強いゆうても女に手上げるなんて最低やな。あんた大丈夫か?」
チラリと横目に見られた。
それだけでドキリとし、頷くだけで精一杯だった。
刺激してはいけない。
本能がそう告げているような気さえした。
「すっ、すんませんしたァ!!」
半べそでその場から逃げ出した相手を追う気はないらしい。
「自分から喧嘩売ってきよった癖に。なっさけない奴やな。」
吐き捨てるようにそう告げる千堂くんに恐る恐る声を掛けた。
「ありがとう。流石に今のはやばかった。」
「気にすなや。借り返しただけや。」
ほな、右手を上げて踵を返した相手の頬は自分の性で腫れている。
このまま返すのは性にあわない。
咄嗟に腕を掴んだ。