中学時代。
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大阪に引っ越してきて1週間が経った。
そんな雨降りの日の帰り道。
自分と同い年くらいの猫のような目が印象的な少年が傘もささず、路地裏に座り込んで何かを抱いていた。
足元にはダンボール。
まさかと思って歩み寄ると逞しい腕の中に弱りきった小さな子猫が見えた。
昔飼っていた黒猫によく似ていた。
見過ごせなかった。
気が付いたら少年と子猫に傘をさしていた。
大きな猫目がこちらを驚いた様子で見た。
「…おおきに。」
「いきなりごめんなさい。あの、その子、捨てられてるの?」
「ああ、そうみたいや。かなり弱っとる。」
寒そうに体を震わせ浅く呼吸する姿に飼い猫の最後を思い出し、胸が苦しくなった。
「うち、すぐ近くなの。預からせてくれない?」
「ほんまか!?おおきに。正直途方に暮れとってん。ほんまに助かったわ。」
「気にしないで。飼ってた猫に似てて、ほっとけなかっただけだから。」
びしょ濡れの子猫をハンカチで包んで抱く。
早く温めてあげないと死んでしまいそうな小さな命。
「ワイ、千堂武士。」
「千堂くん、私百瀬はな。また会えたらこの子と遊んであげてね。」
「おう、ほんまにおおきに。」
短く挨拶を畳んで走って帰った。
子猫をぬるま湯で温め、ドライヤーで乾かしてから母親が慌てて買ってきてくれた子猫用ミルクを与えた。
世話の手伝いをすることを条件に元々猫好きな両親はこの子を飼うことを快諾してくれた。
そのあと家族で名前を決めた。
千堂くんに報告したいなあ。
「明日会えますように。」
ベットの中で天井を拝んでから眠りについた。
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