こっち向いて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ほんまおおきに!武士さんのお陰で間に合ったわ!」
「おお、良かったな!ほな、次行こか!」
「うん!」
コーヒーカップを回しまくったり、ジェットコースターで爆笑したり、ゴーカートで勝負したり、騒いでいる内にすっかり夜になった。
「もう5月やのに夜はちょっと肌寒いなあ。」
「ああ、せやな。これ貸したるわ。」
「えっ、」
「要らんか?」
「いや、借りるわ。おおきに。」
「おう。」
受け取った赤いレザージャケットを羽織る。
少し大きくてあったかくて、抱きしめられてるみたいでドキドキする。
「なあ、最後に観覧車乗りたい。」
「お、ええで。」
自分に合わせていつもよりゆっくり隣を歩いてくれる武士さんにニヤけが止まらない。
これもう側から見たら完全にカップルよな。
そんなことを思いながら歩いているとすぐに観覧車についた。
「へえ、ここのやつ全部ガラスなんやな。」
「えっ、そうなんや!初めて見た。」
すぐに順番が来て観覧車に乗り込んだ。
最初は特に気にならなかったが上に登って行くにつれて下を向けなくなってきた。
「なんやなのか怖いんか?」
「別に怖くないわ、アホ。」
「嘘吐かせ。足ちょっと浮かしとるやん。」
「き、筋トレやし。」
「ほんま意地っ張りやな。」
「ちょっ、ぎゃあ!」
対面に座っていた相手が唐突に動いて大きく揺れた。
ただでさえちょっと怖いのに堪忍してや。
そう思っていると隣に相手が座った。
「え、どないしてん。」
「なのかが怖ないようにと思て。」
「……ちょお寒かったから有難いわ。怖くはないけどな。」
「どんだけ意地張るねん。」
笑いながら、わしゃわしゃと髪を乱してくる大きな手にちょっとだけほっとした。