こっち向いて
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しばらくすれば少し落ち着いてきた。
今度は幸せと実感の無さが湧いた。
「うち、武士さんの彼女ってこと?よな?」
「せやで。んで、ワイはなのかの彼氏や。」
いまいち実感が湧かなくて問うた答えがあまりに真っ直ぐで照れた。
頰が熱い。
そか、と小さく返して見られないように下を向く。
「やから、彼氏名乗っ取った奴に今度触ったら殺す言うとくわ。」
「物騒過ぎやろ。やめたり。洒落にならんわ。」
結構目がマジやん。どんだけキレてん。
「なのかも触られんように近付いたらアカンで!」
「わかったわかった。急に過保護やな。」
最後の言葉が引っかかったらしい。
拗ねたような顔でこちらを見る。
「…悪いかい。」
「いや?うちは嬉しいで。」
「…そか。」
くしゃりと髪を撫でられた。
時間が止まってしまえばいい。
初めて本気でそう思うほどの幸せもつかの間。
見ないようにしていた時刻を武士さんに見られてしまった。
「うわ、もう9時やん。」
「嫌や、まだ帰りたない。」
いくら近所で行き先を告げているとは言え、そろそろ両親が心配し始める時間だ。
だが、居座るつもりで腕に力を込め、ごつい体を抱き締める。
「おばちゃんとおっちゃん心配するやろ。」
「嫌や。」
プイッとそっぽを向いて知らん顔。
子供っぽいのはわかっているが、帰りたくない。
明日になったらいつも通り妹に戻ってしまう。
そんな不安がこびりついて離れない。
しばらくの問答の末、武士さんが折れた。
「…ったく、しゃあない奴やな。」
やった、と喜んだ瞬間。
顎を優しく掴まれた。
と思ったら、ゆっくり武士さんの顔が近付いて来て、離れた。
唇に柔らかな温もりを残して。
