こっち向いて
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暫く走っているとなのかが河原に座ってぼんやりと遠くを見ていた。
先程の柳岡の言葉がチラつく。
いつもなら軽く挨拶をして隣に座る。
それがなんだか酷く緊張する。
通り過ぎようかどうしようか少し悩んでいるうちにアホらしくなってきた。
いつも通りでええんや。
いつも通りで。
言い聞かせるように何度も胸の内で繰り返す。
「何しとんねん、こんなとこで。」
「あれ、武士さん?ロードワーク?今の時間珍しいなあ。」
少しギクリとするも、平静を保つ。
「まあな。試合近いし色々あんねん。それより何しとんねん。ぼーっとして。」
「ああ…、ちょっと悩みごと。」
「ワイが聞けることなら聞くで。」
「おおきに。あのな…、」
いつも小型犬のように騒がしい妹分が今日は借りてきた猫のようだ。
話を聞くと、どうも志望校のことで悩んでいるらしい。
元々第一志望の看護学校があり、そこを受けようと思っていたのだが、担任からもうワンランク上の看護大学を勧められ、偏差値的には大丈夫だし、興味はあるが看護学校よりも看護大学の方が学費がかかるのだそうだ。
自分の家が裕福ではないのを知っているなのかは両親に負担をかけることで悩んでいるらしい。
「挑戦してみたらええやん。」
「せやけど…」
「ワイなら娘に相談もされず諦めとったこと後から知ったらごっつヘコむわ。」
「確かに…、そりゃそうやな…。」
「やから、どっちにしろ相談はしたり。負担でも頑張ってくれるなら有り難く甘えたらええねん。」
「せやな。おおきに、武士さん。うち帰るわ。」
「おう。気つけてな。」
「武士さんロードワーク頑張ってな。次の試合も見に行くけ。」
「おう、おおきに。」
自分より小さい背中が去るのを眺めてから、河原に寝転んだ。
心臓がうるさい。
アイツあんな可愛かったか?
なのかが聞いたら怒りそうな言葉を頭に浮かべつつ、ロードワークに戻った。