こっち向いて
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「名瀬一緒に帰らん?」
授業が終わるなり、例の男子が席に来た。
周りからの視線と「なんやお前ら付き合っとんか」などと冷やかされ、居心地が悪い。
「悪いけど、うち今日は用事あるさかい。」
「終わるまで付き合うわ。」
「え、」
「何や都合悪いか?」
「えーと…、」
親友にSOSの視線を送るも、ウィンクが返ってくるのみ。
観念するしか無かった。
「…本屋さん、寄るんやけど、ええ?」
「なんや、全然構へんよ。」
至極楽しそうな表情の親友を軽く睨んでから教室を後にした。
「名瀬本好きなん?」
「まあ、そやね。」
「俺、漫画くらいしか読まんわ。」
「漫画も好きやけど、今日買いに行くのは参考書。」
「あ、名瀬進学希望なんや?どこ受けんの?」
「看護学校」
「なんや大学やないんか。」
「うちそこまで余裕ないから。」
雑談をしているうちに本屋に着き、必要な物を買って店を出た。
「ほな、また明日。」
「うん、また明日。」
駅で別れて帰路に着いた。
武士さんも好きな子とこうやって寄り道とかしよったんやろな。
同い年というだけで恋愛対象になれる顔も見たことない女の子達が羨ましくて少しだけモヤモヤした。
