第3回

坂上『あ、美味しい・・・』
黒羽『ですね・・・』

コーヒーを一口。
そのまま帰すのも申し訳なかったので、駅前の喫茶店に来ていた。

坂上『良いの?ご馳走してもらって』
黒羽『大丈夫ですって』

封筒の中身はクーポン券が数枚だった。
校内の店舗(今日の店以外にも色々なジャンルがあるようだ)で使えるらしい。
船形が貰ったのと同じ物だろう。
次に集まるときには割り勘で済みそうだ。

坂上『でも私の方が歳う・・・あれ?今は・・・高校生?』
黒羽『・・・』

見た目は20代中盤~後半くらいだろうか。
随分と厄介な事に巻き込まれているようだ。

黒羽『ああ、気にしないで下さい。女の人と御一緒する時は奢るように、って言われてますので』
坂上『誰から?』
黒羽『ええと・・・あれ?』



思い出せない。
女の人だったような気がするが、それがいつだったのかも定かではない。

坂上『あはは・・・良いって。私も3日くらい寝ないと記憶飛び飛びになっちゃうし』
黒羽『・・・』

場を和ませる為の冗談だと思いたい。
どちらにせよ、これ以上考えない方が良いだろう。

坂上『ふわぁ・・・ぐー・・・あ、ゴメン』
黒羽『あの、寝てますか?』
坂上『うん、気が付いたら』

一番ダメな返答がかえってきた。

黒羽『・・・大丈夫なんですか?』
坂上『心配してくれるんだー、ありがとね。でも私がやらないと業務が回らないし』

会社なのか高校なのか本人もおそらく分かっていないのだろうが、まともな組織ではないのは間違いない。

黒羽『せめて受付業務だけでも・・・』
坂上『いつもは違う娘なんだけど、体調悪いみたいで急遽私が・・・眠い』

コーヒーを飲み干している。

黒羽『もう一杯飲みます?』
坂上『うん・・・むにゃ』

店員にコーヒーのお代わりを注文した。

坂上『私にしかできない仕事幾つかあってねー・・・例えば、データの・・・』
黒羽『・・・』


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