第3回

黒獅子高校。

最初に聞いた時は、タチの悪い冗談にしか思えなかった。

違和感しか感じないこの言葉を私、黒羽帷空(くろばいすか)が耳にしたのは小学校からの知り合いからのとある頼みがきっかけだった。
その知り合い、佐倉(さくら)ゆかりの2学年先輩で現在は源氏大学に通う湯川楓(ゆかわかえで)。
野球部に在籍しており、色々な意味で“やり手”らしい。
中学からの知り合いである、波後水華(なみとみずか)と良い勝負だろう。(何がとは言わないが)
その湯川の同級生で、同じ源氏大学の船形那古(ふながたなこ)という女性と数ヶ月前から連絡が取れなくなったというのが事の発端だ。
湯川とは一度会った事があるが、船形那古という名前には全く覚えが無かったので画像と簡単なプロフィールをLI●Eで送ってもらった。

学年は私と佐倉よりも2つ上。
一時期ソフトボールをやっていた事があるが、高校では応援部に在籍しており大学でも続けてるとの事だった。
経歴はともかく、数ヶ月も連絡がとれなくなるというのは穏やかではない。
借金か男絡み、もしくはその両方が頭に浮かんだが口には出さなかった。

佐倉から送られてきた画像を見てみる。
大学のロゴマークが入ったチアのコスチュームに身を包んだ女性が写っていた。
間違いなく、初めて見る顔だ。
一般的に見て整った顔立ちだと思ったが、逆に言えば異性絡みのトラブルに巻き込まれてる可能性も高いという事だろう。

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