第2回

鯉沼『男が・・・男がナンボのものじゃーーーっ!!なんや、文句あるんか店長!?』

『ひ、ひぃぃぃぃぃ!!な、なんでもありませーん・・・』

●●『(あの人、店長だったんだ・・・)』

家山『彼女さんらしき人、怖がってるねー』

矢部『やんす・・・』

●●『・・・大丈夫なの、この店?って言ってるね。あ、吉成さんだ』

吉成『抹茶アイス2つお待たせしましたー・・・お客様、今日はラッキーですね。どこがって?実は、あのパワーワードを聞いたカップルは上手くいくってネットで評判なんですよ』

桜橋『そうなの?』

家山『はじめて聞いたけど・・・』

●●『(パワーワードって・・・)』

静森『よくもまあ・・・』

吉成『というのは今さっき私が考えた出任せなんですけど、御二人が上手くいくように本日はこちらの甘~い特殊球チョコをサービスしちゃいます。よかったら御二人で試合も観に来て下さいね・・・それでは、ごゆっくりどうぞ』

●●『おお・・・』

家山『下手したらクレーム案件になりかねない場面を笑いを交えた接客で乗り切る、さすがね・・・』

桜橋『こっちは気が気じゃなかったんだけど!?』

●●『まあまあ・・・』

矢部『試合さながらの臨機応変さでやんす!』

吉成『はい、皆さんもどうぞー』

家山『お、特殊球チョコ』

●●『赤、青、緑、黄色のサッカーボール柄なんだ』

桜橋『中身は全部一緒だけどね』

矢部『シンプルなミルクチョコレートでやんすね・・・旨いでやんす!』

吉成『でしょ?じゃ、私も・・・』

静森『では私も・・・吉成さん、食べるのは多目に見ますがポケットに入れるのはダメですよ』

吉成『ゲ、バレた?じゃあ・・・はい』

●●『いただきます・・・うん、甘くて美味しい』

家山『うわぁ・・・』

桜橋『・・・』

吉成『どうだった?』

●●『うん、美味しかった』

吉成『さっきまでスカートのポケットに入ってたからねー』

静森『吉成さん!!』

●●『(道理で少し生暖かかった訳か・・・)』

矢部『オ、オイラも味わいたいでやんす~・・・』

吉成『さすがに一個だけだって』

矢部『残念でやんす・・・』

吉成『という訳で、明日からよろしくね?』

桜橋『《という訳で》って・・・』

●●『ま、まあ・・・どっちにしろ受けるつもりだったから。今、オレが野球を続けていられるのもここにいる3人のおかげだからね』

静森『そうなのですか?』

●●『はい。元々オレは・・・』

(そして・・・)

静森『そんな事情が・・・』

矢部『オ、オイラ改めて感動したでやんす・・・』

家山『うん。一緒に頑張ってこうね』

鯉沼『ウチ、涙が止まらん・・・』

●●『(い、いつの間に?)』

桜橋『来てそうそう辛い思いをさせて申し訳ないわ・・・本当に』

●●『大丈夫だって。あの時の苦境に比べたら今の状況なんて』

吉成『グスン・・・お姉さん、感動しちゃった。もう一個あげる』

静森『よ、吉成さん!!』

矢部『オイラがもらうで・・・やんす?』

桜橋『少し溶けかかっているけど、美味しいわね。開発に力を注いだかいがあったわ』 

矢部『やんすー・・・』

家山『滝のような涙を流してるね』

●●『そうだね・・・って、鯉沼さん?』

鯉沼『この期に及んで男に媚売って・・・もう一度ウチが説教しちゃる!!』

静森『わ、私も手伝います!!』

吉成『そ、そんなぁ・・・助けてぇぇぇーーー!!』

矢部『二人がかりで奥に連行されていったでやんす・・・』

家山『明日から忙しくなりそうだし、帰ろっか?』

●●『うん・・・』

桜橋『伝票、こっちで預かるわね・・・ヒナにLI●Eしておいた方が良いかな?』

家山『一応フォローしておいたけど、半泣き状態だったからね?お土産買っていけば?』

桜橋『う・・・ゴメン』

●●『(向こうに半泣きどころか全泣き状態の人がいるんですけど・・・)』

鯉沼『くぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!』

静森『だいたいアナタは・・・』

吉成『うぇぇぇぇぇん!この二人のガチ説教はキツいよーーー!!』

桜橋『じゃあ、これとこれを・・・そうですね、ドライアイスも』

矢部『オイラも頼むでやんす』

桜橋『じゃあ一つ追加で・・・ってアンタは自腹!売上に貢献しなさい!!』

矢部『そ、そんなでやんす~』

家山『頑張ろうね・・・不安だけど』

●●『うん・・・前途多難そうだけど』









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