第2回

●●『吉成ツグミ選手、圧倒的なスピードで相手ディフェンダーを抜き去る実力の・・・』

家山『世代別代表に選ばれてるだけでなく、そのルックスでも話題になってるわね』

矢部『芸能事務所からもスカウトされたらしいでやんす。ファンブックの表紙も飾ってるでやんすよ』

●●『ホントだ。ちょっと見ていい?』

桜橋『矢部昭雄くんへ・・・結構サイン貰ってるのね』

矢部『スタッフになれば、即コンプリートできるでやんす!』

家山『練習の邪魔にならないようにねー』

静森『彼女は名実ともにG.T.S.C.の看板選手の一人で、サッカーだけでなく仕事もしっかりこなしてくれるのですが・・・こちらも、何というか』

桜橋『ええ・・・』

静森『食べ物に対する執着が・・・何かあってからでは遅いので、ファンの方からいただくのは禁止しましたけど』

●●『じゃあ、その・・・さっきみたいな』

静森『いえ、それは顔見知りが来ている時だけですね。普段は廃棄する食材をこっそり持ち帰ろうとしたり・・・』

矢部『飽食系女子でやんすね』

家山『初めて聞いたけど』

矢部『今、オイラが作ったでやんす』

桜橋『あっそ・・・』

静森『まあ、プレーヤーとしてだけでなく働き手としても優秀なのであまり強くは・・・といったところですね』

桜橋『それは確かに・・・』

●●『(奥からものすごい怒鳴り声が聞こえるけど・・・)』

矢部『働く日は普段は原則非公開でやんすが、突然ヤンスタグラムに載ったでやんす』

家山『例の一件が明るみに出た少し後だよね?』

矢部『やんす。それを彼女達からのお誘いだと確信したオイラは、放課後脇目もふらずにお店へと向かったでやんすよ』

桜橋『部活サボってね。・・・まあおかげで、この店だけは売上そんな落ちなかったのよ』

●●『一時的に、じゃなくて?』

静森『可能な限り窓側に座ってもらったらしいです。あの騒動があって、さらに店内がガラガラだとますます入りづらくなるという理由で』

家山『なるほどねぇ・・・』

矢部『これが吉成ツグミ選手のヤンスタグラムでやんす』

●●『結構頻繁に更新されてるね』

矢部『それだけじゃないでやんす!バスりやすい曜日や時間を綿密に計算、さらにはプライベートが特定されるような情報や炎上リスクのある投稿は相手ディフェンダーをかわすかの如く華麗にスルーでやんすよ!!』

桜橋『わ、分かったからもう少し離れて・・・』

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