第2回

??『お疲れー、大分調子戻ってきたんじゃない?』

●●『ハァ・・・ハァ・・・まさか、一ヶ月も身体動かしてないだけでこんなになるなんて・・・』

??『まあ無理もないって・・・はーい、皆も一旦休憩ー!』

●●『(茶摘高校のキャプテン、女子選手の家山三保さん。面倒見の良い姉御肌な性格で、後輩だけでなく同級生からも慕われている)』

??『一段落したらまた頑張るでやんすよ』

●●『うん、ありがとう矢部君』

●●『(家山さんと同じく同級生、同じクラスの矢部昭雄君。転校してきたオレが再び野球を始める事ができたのは、矢部君のおかげだろう)』

矢部『やる気が出てきて良かったでやんす』

家山『うん、初めて●●君見た時なんか《ソイヤ!ソイヤ!》された後みたいだったもん』

●●『そ、そんなに・・・?(てか、ソイヤ!ソイヤ!って何?)』

矢部『この世の終わりみたいな顔をしていたでやんす』

●●『(元々オレは、とある強豪校に特待生として越境入学していた。1年秋に初のベンチ入りを果たし、さあこれから!と思っていたオレに突き付けられたのは退部通告だった)』

家山『うん。リアルでそんな状態の人、初めて見た』

●●『(2年夏の大会を間近に控えた時だった。寮も出ていく事となり、地元の高校に転入する事となる。ちなみに夏の大会、準々決勝で敗退したのは同級生からのLI●Eで知った位に最早どうでも良かった)』

矢部『顔が歪んでたでやんす』

●●『(そんなオレに手を差しのべてくれたのが同じクラスの矢部君、キャプテンの家山さん。そして・・・)』

家山『しおれてたよね。まあ、それはいいとして・・・』

●●『(マネージャーの桜橋音羽さん。実家は広大な茶畑を所有しており、茶葉の販売や喫茶店などの関連事業も手掛けている)』

矢部『やんす・・・』

●●『今、オレ達がいるこのグラウンドも桜橋さんの会社の所有らしい。ちょっと・・・いや、かなり厳しい・・・時にはヒステリー気味なのが玉にキズだが』

家山『それよ!』

●●『え?』

矢部『途中から声に出てたでやんすよ・・・』

●●『あ・・・』

家山『確かに音羽はちょっと言い方が厳しい時もあるけど、それは相手によって変えていたはず』

矢部『元々オイラは怒られっぱなしでやんすが・・・』

●●『オレはそういうの慣れてるけど』

家山『でも最近は誰それ構わずにあんな感じ。ヒナっちなんて、完全に怯えきっちゃって・・・』

矢部『1年生マネージャーの江尾比奈(えのおひな)ちゃん、頑張ってくれてるでやんす』

●●『でもそれって、チームの為に・・・』

家山『いや、だったら私に言うでしょう。元々キャプテンの私と、転校しちゃったけど副キャプテンがそういう役を引き受けるつもりだったし』

●●『なるほど・・・』

家山『今じゃすっかり私がフォロー役。ヒナっち以外にも明らかにそれやっちゃダメな相手にまでああだから、こっちは気が気じゃ無くて・・・』

矢部『オイラなんかむしろ嬉しい位でやんすけど・・・』

家山『こういうの相手なら全く問題は無いんだけどねぇ・・・』

●●『(別の意味で問題な気が・・・)』

家山『しゃーない、一度女同士腹割って話してみるしかないか・・・ん?』

??『あの、すみません・・・』

矢部『おお、クールビューティーなお姉様の御登場でやんすー!!』

●●『や、矢部君!』

家山『えっと・・・どういった御用件でしょうか?』

??『申し遅れました・・・私、こういう者です』

●●『征佳(せいか)スポーツマネジメント、静森彩華(しずもりあやか)さん?』

静森『はい。それで、お忙しい所申し訳ありませんが・・・マネージャーの桜橋音羽さんは・・・?』

矢部『そういえば見ないでやんすね』

●●『練習始まった時点ではいたけど・・・』

家山『ヒナっち、何か聞いてない?』

江尾『えっと・・・電話してくるって何処か行って』

家山『そのまま?』

江尾『はい・・・』

静森『そうですか。スポンサー絡みの件でお話をしたかったのですが、もしご都合が付けばこちらの番号に』

●●『(スポンサー?)』

家山『いえ、これから呼び出します。静森さん、お時間大丈夫でしょうか?』

静森『え、ですが・・・』

家山『ヒナっち、後お願い』

江尾『え・・・?あ、はい。では矢部先輩、●●先輩』

●●『うん、よろしく』

矢部『やんす』







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