ばきメモ2、ばきメモスタジアム

彼女は袴姿だった。
卒業式に着ていた物ではなく、上は白で下は紺色といった地味な感じの色使い。
これはこれでそそるのだが、不埒な事を考えている余裕も無い。

押さえ付ける
後退する


細かい事を考えていても仕方が無い。
そう思ったオレは彼女の腕を掴んだ・・・つもりだった。

『・・・残念でした』

次の瞬間、視界が一回転し地面に叩き付けられた。
言葉を発しようにも、声が出ない。

『お仕置きの時間でーす・・・なーんてね』

それでもなんとか立ち上がろうとするが、今度は片方の腕を掴まれた。
そのまま、あらぬ方向へと極めてくる。

『これで・・・どうっ?』

凄まじい痛みが身体中を駆け巡り、オレは涙と鼻水を撒き散らしながら許しを乞いた。
あまりの痛みに身体中の感覚がおかしくなる。
・・・そして。

『・・・あ』

もはや止めようが無かった。
オレのズボンを中心に水溜まりが拡がっていく。
慌てて技を解くも、時既に遅し。

『えっと・・・また後で連絡するね。そ、それじゃ』

バツが悪そうに彼女はその場を去っていった。
ズボン、クリーニング出さないと・・・。
仰向けに倒れたままのオレは、涙を流しながらそう思った。

次へ(敗北エンド)
リトライ


この姿には見覚えがあった。
確か数ヶ月前、体操着に着替えて武道場に来るように言われた。

・・・そして散々な目にあった。
良いように転がされ、ムキになっていけばなるほど手も足も出なかった。
その時、彼女が着ていた物がこの袴だ。

『・・・さっさと来なさい』

そしてもう一つ思い出した。
あの時、全てオレから仕掛け・・・完全に弄ばれた。
だったら、こちらから仕掛けなければどうなるか。
そう思ったオレは、一歩後退し距離を置いた。

『・・・』

黙って一歩、にじり寄ってくる。
さらに一歩下がる。

『・・・』

一歩、詰めてくる。
さあ、どうするか。

『行くわよ!・・・あ』

一気に距離を詰めてくる。
身構えた、次の瞬間だった。

『しまっ・・・』

考えるより先に、体が動いた。
小石に躓き、体勢を崩した彼女を咄嗟に抱き止める。

『・・・ありがと』

そのまま、オレと唇を合わせる。
もはや、言葉はいらなかった。

次へ(勝利エンド)
リトライ

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