コラボ作品

【自分の事を話す】
彼女『貴女も、鉄球がどうのこうのって言ってたわね。まあ、片手だけでも投げられなくはないけど・・・』
クキカワ『少年に心から同情するよ』

クキカワがやれやれといった感じで手を広げる。

彼女『うっさい。で、貴女が会ったのはどんな人?』
オカルト女『そうですね・・・見た目も中身も濃い方でした』
クキカワ『ほう』
彼女『見た目って、こんなの?』
クキカワ『こんなの言うな』



何となく、今がおかしな事態というのは見当がついていた。
幼なじみさんの知り合いであるはずの《ヒカリ》さんは別人である事が判明する。
だが、困っているのを見過ごす訳にはいかず協力する事に。

オカルト女『・・・』

鞄から水晶を出し、かざしてみる。
途端におかしな感覚が流れ込んできた。

オカルト女『う・・・』

磁石の同じ極同士をくっ付けようとする時のような妙な感覚。
さらに意識を集中させようとした、その時だった。

『あら、良い物持ってるじゃない』
オカルト女『え・・・キャッ!?』

声の主を見る。
その容貌に驚いた私は、手に持った水晶を落としてしまった。

『おっと・・・危なかったわぁ』
オカルト女『あ、すみません』

水晶を受け取りつつ、改めて顔を見てみる。
クキカワ以上に濃い化粧、そして頭頂部の派手なモヒカン。
口調こそ女っぽいが、ゴツい体格は完全に男のそれだ。

『それにしても良い物ね。6ケタは堅いんじゃない?』
オカルト女『は、はい・・・』

叔母のツテで5ケタで手に入れた物なので、実際にはそれくらいするのだろう。



『そっかぁ、残念・・・占い好き同士気が合うと思ったのに』

近くの公園のベンチでオカマっぽい人と二人。
聞いた話では、彼女(彼?)は飲食店を経営しているらしい。
働かないかと誘われたが、さすがに辞退した。

『高校生の娘も働いてるのよ。あまり大きな声じゃ言えないけどね・・・ウフ★』
オカルト女『えっと・・・』

まあそれでも、今の私達よりはマシだろう。
少なくとも、学校には行っているはずだから。

『そうそう、アタシの占いなんだけどね・・・コレを使うの』
オカルト女『ボーリングの球、ですか?』
『ううん、鉄球よ。中身も完全に。触ってみる?』
オカルト女『本当だ・・・重いですね』
『ふぅん、貴女意外と力あるわね』
オカルト女『あ、えっと・・・』

確かに重いが、持てない程では無かった。
1年前の自分ならどうだっただろうか?

『まあ、良いわ。せっかくだし占ってあげる、今日の記念に』

そして彼(彼女?)が気合いの入った声と共に放り投げた鉄球は、放物線を描く感じで飛んでいき・・・



オカルト女『うわ・・・』

鈍い音を立てて落下した。



彼女『それで、占いの結果はどうだったの?』
オカルト女『えっと・・・』

正直、よく分からなかった。
《般若》だの《ピエロ》だのといった単語が出てきたが、それが何を意味するかは占った本人にも分からないらしい。

彼女『みわ、ねえ・・・』
クキカワ『源氏名か?』
オカルト女『さあ・・・』

彼(彼女?)と話しているうちに、オカマっぽい外見である事が全く気にならなくなっていたのに驚いた。
もしこちらの世界の人間であったら、店の常連になっていたかもしれない。
そう思った。

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