コラボ作品

クキカワ『ふぅ・・・』
彼女『・・・』

二人がほぼ同時にコーヒーを一口。
叔母が旅行中という事もあり、ここ数日は貸切状態だ。
カウンターには《女の子を意のままに操る方法》《宇宙との交信》といった怪しげなタイトルの本が何冊か積まれている。
クキカワはともかく、会長さんがこの手の本に興味を示すのは初めてだと思う。

彼女『事態が事態だから・・・うーん、しっくりこないわね』

《洗脳と集団心理》と書かれた本を閉じ、カウンターに置いてある悪魔の人形の鎌の部分を触っている。
自分の分のコーヒーを入れて、隣の席に腰掛けた。

オカルト女『・・・』

ブラックで一口。
何となくだが、叔母の味とは少し違う。
会長さんもクキカワも美味しいと言ってくれたが、まだまだ精進が必要だ。

【選択肢】
⇒クキカワの話を聞く
 自分の事を話す
 主人公と幼なじみに聞いた話を思い出す


【クキカワの話を聞く】
私はクキカワの横顔を見た。

クキカワ『・・・』

置いてある本を読む訳でもなく、何かを考え込むような表情をしている。
時折コーヒーを口にしつつ、ひたすら思案している。
少し苛立っているようにも見えた。

オカルト女『確か、妙な女性に付きまとわれたらしいですね』
クキカワ『・・・ああ。連絡をもらって、《かける君》の手配自体はすぐに済んだのだが』
彼女『年齢は?』
クキカワ『10代後半から20代の・・・前半くらいか?詳しくは分からんが』

溜め息を付き、コーヒーを飲み干した。

オカルト女『美人でしたか?』
クキカワ『まあ・・・そうだな』

空になったカップを受け取ってカウンターへと戻る。

彼女『なら、良かったじゃない』
クキカワ『・・・良い訳あるか。公園の水道に頭突っ込まれそうになるわ、さらにその後池に投げ込まれそうになるわで大変だったんだぞ』

クキカワのコーヒーを新たに入れ、カウンターに置く。

オカルト女『その方・・・ひょっとして、会長さんの御親戚さんだったりしませんか?』
彼女『貴女・・・地味に失礼な事言ってるって自覚ある?』
クキカワ『まあ・・・似ていたと言えば似ていたかもしれないな』
女二人『『え、ウソ!?』』

私と会長さんの声がハモった。



オカルト女『他に、何か言ってました?』
クキカワ『《訳の分からない事ばっかりして!こんな人を先生って呼んでいた私が間違ってました・・・もう知りません!!》
みたいな事を言って、何処かへ行ってしまったな』

先程の《似てる》というのは容姿がという訳ではなく、雰囲気の事らしい。
確かに、会長さんの実家は相当の大金持ちで仕草にも育ちとかそういった物が感じられる。
初めて話した時は、その空気に圧倒されたのを思い出した。

彼女『それは妙ね』
クキカワ『今回の騒動といい、確かに訳の分からない事ばかりしている自覚はあるのだが・・・』
オカルト女『《先生》と呼ばれていた覚えは無いと』
クキカワ『ああ。過去の飲み会とかそういうのも含めて』

ちなみに雰囲気が似ているのは、会長さんとクキカワが会った《ユリ》とかいう女性にも
言える事らしい。

彼女『そもそも貴方、あまり好きではないでしょう?』
クキカワ『付き合いで何度かはあるが、正直苦痛でしか無かったな』
オカルト女『野球教室とかは・・・?』
クキカワ『それも考えてみたが、《先生》と呼ばれた記憶は無いな』

さらに話を聞いていると、私が少し前に見た妙な夢に出てきたセーラー服姿の女子高生も《ユリ》と名乗っていたのを思い出した。
確証が無いので話していないが、おそらく同一人物で間違いないと思う。

彼女『つまり・・・』
クキカワ『あの男と間違えているのだろうな』
オカルト女『菊川・・・ですね』

喫茶店の中に緊張した空気が流れる。
クキカワと似ているという曰く付きの男。
彼は一体何をしでかしたのだろうか?

クキカワ『そうだ。水道や池の事もそれで説明がつく』
オカルト『化粧・・・ですね』
彼女『名前は聞かなかったの?』
クキカワ『そんな余裕は無かった。見た目から想像できない程に力が強かったから、振りほどくのがやっとだったな』
オカルト女『やっぱり、会長さんの・・・』
彼女『もういいから』

軽く頭を叩かれる。

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