コラボ作品

クキカワ『人の振り見て我が振り直せ、とか思わなかったか?』
彼女『ええ、ちっとも・・・そ、そもそも何の事かしら?』

自覚はあるようだ。
丸くて平べったい物体が顔の近くを掠める。

クキカワ『コースターを投げるな』
彼女『手が滑ったわ、ごめんなさい』
クキカワ『まずは、あの《ヒカリ》とかいう少女についてだが・・・』
彼女『あの娘の知り合いの《ヒカリちゃん》は光恵(みつえ)って名前らしいわね』

月影ひかり。
それが、ようやく会えた《幼なじみ》の知り合い(実際は全くの初対面だったが)の本名だった。
チート女と幼なじみの二人が練習場の隅でしゃがみ込んでいた長髪男に尋ねてみたが、

『姉さんが・・・優しかった姉さんが、ボクを豚呼ばわりするなんて・・・』

と完全に上の空だったらしい。
何とか《ヒカリちゃん》について聞いてみると

『今日は・・・来ていない』

と力無く返事が返ってきた。
どうしようか迷っていると、物影から怯えた目でこちらを見るジャージ姿の女子マネージャーを発見。
それが《ヒカリ》という名前だった。

クキカワ『繋がらんな』
彼女『ダメね』

ヒカリ(月影ひかり)に教えてもらった彼女自身の番号、そして事件の舞台となった天空中央高校の番号にかけてみるも

『現在、この番号は・・・』

と機械的なメッセージが繰り返し流れるだけだ。
ヒカリ(月影ひかり)に成り済まして《幼なじみ》に接触した人間、それは・・・

【選択肢】
⇒やはり月影ひかり本人
 チート女の妹
 それ以外の誰か



【やはり月影ひかり本人】
やはり、あの《月影ひかり》が・・・

彼女『そんな訳無いでしょう。仮にそうだとしたら、接触した段階で何らかのリアクションがあるはずよ』
クキカワ『確かにな』
彼女『それにあの娘・・・ウソをつける性格ではないわ』
クキカワ『ああ』

見ていて心配になる程だった。
あれが演技とは思いたくない。

戻って推理し直す


【チート女の妹】
目の前にいる女。
本当に、チート女なのだろうか。
ひょっとして・・・

彼女『あら、分かっちゃった?』
クキカワ『最初から・・・な』
彼女『でも途中から彼氏君にはバレてたの・・・って、そんな訳無いでしょ!!』
クキカワ『ぐおっ!?』

どつかれる。
結構痛い。

彼女『もちろん尋問してウソ発見器にもかけたわ』
クキカワ『・・・キミの辞書に《信頼》という言葉は無いのか?』
彼女『私以上に頭の回転が早い時があるから信用ならないのよ』
クキカワ『・・・』

多分、あの少年こそがこのチート女には最も相応しいのだろう。
改めて、そう思った。

戻って他の選択肢を選ぶ


【それ以外の誰か】
クキカワ『まず始めに確認しておきたい。例の学校だが・・・』
彼女『無かったわ。名前が変わったり、廃校になった所も含めて』
クキカワ『つまり・・・』
彼女『そういう事。私に回したのは良い判断だったわね』
クキカワ『何となく引っ掛かる物を感じたからな』

天空中央高校。
《こちら》には存在していなかった。
そして、《こちら》の世界を知っているある人物が《ヒカリ》を名乗って・・・

彼女『あの娘(幼なじみ)に接触してきたって訳ね』
クキカワ『ああ』
彼女『そしてその《ヒカリ》は・・・』

そんな芸当ができる人物。
チート女、そして私とも会った事があり《こちら》の世界を知っている人物。
それは・・・



クキカワ『ユリ・・・とかいう女子高生ではないかと思っている』
彼女『あら、正解。まさかそれだけの情報で判断できるなんてね』
クキカワ『正解、って・・・』
彼女『会ったのよ、久々に』

つまり・・・

彼女『《あちらの世界》の高校。以前に会った時に偏差値の高い学校の話題になってね』
クキカワ『なるほどな・・・だが』
彼女『それは分からないわ。《こちら》と《あちら》の世界が混在していた理由なんて』
クキカワ『ユリが仕組んだ事じゃないのか?』
彼女『明確に否定されたわ。それと・・・』
クキカワ『それと?』
彼女『彼女なのは間違いなかったし、向こうも私の事を覚えていたけど・・・』

考え込むような表情になる。

彼女『少し雰囲気が変わっていたわ。大人っぽくなっていたというか・・・』
クキカワ『何年か後、という事か』
彼女『正確な歳を聞いておけば良かったわ。それと向こうの情報とか、色々』
クキカワ『そうだな。だがその前に・・・』
彼女『コーヒーのお代わりが欲しいわね』
クキカワ『と、いう訳だ。マスター』

こちらの呼びかけにグラスを拭いていた手が止まる。



オカルト女『・・・誰がマスターですか?』
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