コラボ作品

【彼女(チート女)】
彼女『今、大丈夫かしら?』
クキカワ『ああ・・・珍しいな』

例の手段ではなく、直接電話で来たのは初めてだった。
一応BMS全員の番号は登録してあるのだが、この女・・・すなわちチート女から電話がかかってくる事は、まず有り得ないだろうと思っていた。

彼女『そういえばそうね・・・で、ちょっと良い?』
クキカワ『今日の事か?少年にも迷惑をかけてしまったな』
彼女『うん・・・それで貴方、もしかして《ユリ》って名前の女子高生と会ってなかった?』
クキカワ『ああ。それと、《なつき》とかいう・・・』
彼女『胸の大きい女の人、でしょ?』

嬉しそうな声が電話口から聞こえた。
どうやらチート女も、例の2人に会った事があるらしい。

彼女『こんな事、彼に話した所で笑われるに決まってるからね』
クキカワ『笑った時点で酷い目に遭わせるのだろう?』
彼女『《教育》って言ってほしいわね』
クキカワ『・・・』

《調教》という言葉の方が相応しいと思ったが、さすがに言葉には出さなかった。



クキカワ『そうなのか?』
彼女『気付かなかった?』
クキカワ『つまりはあの《なつき》とかいう女、こちらの蒼河みたいな物か?』
彼女『私も初めはそう思ってたけど、違うみたい。あの人より前に、ピッチャーで2人いるって言ってたわ』
クキカワ『って事は3人か・・・』
彼女『さらにその後に、キャッチャーともう1人ピッチャーで入ったらしいから合計で5人ね』
クキカワ『凄いな、それは』

多少は営業面の計算もあるのかもしれないが、それだけでは無いだろう。
下手に《美人》だけを売りにした所で逆効果になる可能性すらある。
トレーニングの技術等、あちらの世界の方が発達しているのかもしれない。

彼女『でも最後に入った女の子が、先輩とスキャンダル起こして大変な事になってるみたい』
クキカワ『ほう』
彼女『色々あるという事ね』
クキカワ『男の方もタダでは済まないだろうな』



彼女『随分長く話したわね』
クキカワ『そうだな・・・ではまた』
彼女『クキカワ、明日・・・じゃなくて今日は休みにしてもらったわ』

いつの間にか日付が変わっていた。
例の2人の話から始まって、他のメンバーの事や野球の事など延々と話し込んでしまった。

クキカワ『そうか。なら英気を養うとしよう』

無論、それどころでは無いのだが。

彼女『おやすみなさい。色々話せて楽しかったわ。・・・あと、問題だけは起こさないようにね?』

こちらが何か言うより先に電話は切れた。
ある程度は察しているのだろうか?

クキカワ『・・・』

チート女と初めて会ったのは、確か10年以上前だったと思う。
友人というほど砕けた間柄ではないが、単にすれ違った時に挨拶を交わすだけの単なる顔見知りでもない。
腐れ縁と表現するのがしっくり来るだろうか。



そう、今となっては。

もう寝る
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