ばきメモ2、ばきメモスタジアム

彼女は剣道着だった。
竹刀を構え、殺気を放っている。
とても恋人に対してとるような態度とは思えない。
防具に書かれている名前が違うので、知り合いの剣道部員から借りた物だろう。

押さえ付ける
後退する

オレは思案した。
さすがに面までは付けていないが、光を失った瞳がこちらを見据えてくるので余計に怖い。
あまりの恐怖に足が震えている。
リーチがある分、下手に動くのは危険だろう。

・・・だからといって何もしない訳にはいかない。
オレは勇気を絞り切って、素早く彼女との間合いを詰めた。

『・・・!』

そして、竹刀を振り下ろそうとした両手を押さえ付ける。

『・・・あ』

カランコロンと音を立て、竹刀が地面に転がった。
どうやら上手くいったようだ。

『・・・やるじゃない。前に私が教えた方法を使うなんて』

親指を掴めば手の力は半減する。
以前、彼女が(オレを痛め付けながら)教えてくれた事だった。

『じゃあ、竹刀と防具返してくるね』

竹刀を拾い上げた彼女は、そういって武道場の方へと満足そうに歩いていった。
オレは力が抜け、ヘタヘタとその場に座り込んだ。

その後、ホワイトデーのお返しを二人で買いに行った。
食事も奢らされたが、彼女が満足そうだったのでよしとしよう。

次へ(勝利エンド)
リトライ



オレは素手なのに、彼女は武器を持っている。
少々理不尽さを感じたが、今はそれどころでは無い。

圧倒的な不利をどうするか。
まずは一歩後ろに下がる。
次の瞬間だった。

『・・・メン!』

気合いの入った掛け声と共に、オレの顔面に竹刀が振り下ろされた。
防具も何も付けてなかったオレは、そのままよろめいて地面に座り込んでしまった。

『メン!メン!メーーーン!!』

無防備なオレの身体に次々と竹刀が打ち込まれていく。
情けない悲鳴をあげるも、攻撃が止む気配は全く無い。
そしてオレは意識を失った。

次へ(敗北エンド)
リトライ
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