ばきメモソルジャー

子供って残酷だ。
どこか他人事のように思いながら、公園のブランコに身を預けていた。

オカルト女『・・・』

勉強も運動もできるとは思う。
その証拠に、学期末に渡される通知表にも1つか2つを除いて《よくできました》の文字が並んでいた。
そんな私の回りには、自然と男の子が集まるようになっていた。
昨日見たテレビや昼休みに何をして遊ぶといった話で盛り上がり、時に勉強を教え合ったりもしていた。

それがいけなかった。
女子からの妬みの対象となり、それがイジメに変わるまではあっという間だった。
鞄の中には破られた教科書やノートが何冊も入っている。
証拠が無い以上、教師もどうしようもないらしい。
下手に特定の個人を疑えば、教師としての立場が危うくなる。
それは理解できない事もない。
だが・・・

オカルト女『・・・』

涙が出てきた。
悔しいのか、悲しいのか、少なくとも嬉し涙ではないだろう。
ポケットからハンカチを出そうとした、その時だった。

『・・・』

隣のブランコに、若い男性が腰掛けていた。
こちらを見ている。



『私は・・・魔法使いだ』

若い男性は、突如そんな事を言い始めた。
私の脳裏に叔母の顔が浮かんだ。
占いに拘るあまり、世界中を旅して《本物》を探しているらしい。

『今から魔法をかけてあげよう・・・』

頭に手がかざされた。

『5つ数えるんだ。そうすれば、キミの悲しみは癒される。さあ、キミも一緒に・・・5』

それは、子供騙しのウソだったのかもしれない。

オカルト女『・・・4』
『3』
オカルト女『・・・2』



『おい・・・しっかり』

目の前がボヤけていた。
誰かが私の身体を揺らしている。

『これは・・・キミなのか?』
オカルト女『・・・え?』

少しずつ焦点が合ってくる。
切れた架線からバチバチと火花が散っていた。
近くにはジャングルジムやブランコといった公園の遊具があるが、いずれも不自然にひしゃげたり有り得ない角度に曲がったりしている。
砂場の砂は吹き飛び、大きな長方形の穴だけが残っていた。
そして・・・

『大丈夫か?』
オカルト女『お兄さん、本当に魔法使いだったんだぁ・・・』

男性の手が紫色に発光していた。
この人は《本物》だ。
叔母に教えればきっと喜ぶだろう。

『な、何だこれは!?私は一体・・・』

男性の顔が驚愕の色に染まる。
発光した手を壊れた遊具や地面に擦り付けていた。
自分の手を見てみる。

オカルト女『やったあ、私もお兄さんと一緒だぁ・・・』

自分の手も同じように発光していた。
今度こそ私は、嬉し涙を流していた。




幼なじみ『・・・』

二人して、顔を見合わせる。
その後はどうなったのだろうか。

オカルト女『まあ・・・多少はヤンチャしましたけど』
彼女『多少?確か、私が聞いた話では』
オカルト女『サイコパワー全開!かーんぺき、でしょ★』
ライバル『あ、誤魔化した』

しかも結構マニアックなネタだ。

幼なじみ『っていうかさー、その・・・』
オカルト女『ああ、それは大丈夫です。お互いに色々ありましたけど、今更無かった事にはできないんで』
彼女『・・・』
ライバル『・・・』
幼なじみ『・・・』
オカルト女『って、そんな事はどうでもいいんですよ。私が気になってるのは・・・』
彼女『高校の件、ね』

片付け(夜逃げの準備)が一段落した時に聞かされた話。
しばらく行っていないオレ達の高校、私立ばきばき高校に教団の協力者(女性らしいが詳しい事は判明していない)がいるらしい。
あの日・・・クキカワが夢の国(年間パスは6ケタするらしい)でオレに接触したのも、そして学校をサボる事になったのも不測の事態を防ぐ為だという事だった。
そして、その黒幕は・・・



??『あー、多分それ私』




女性の声が聞こえ、オレ達は一斉に振り返った。
そこにいたのは・・・

幼なじみ『落ち目の元アイドル!』

そう、初代ばきメモに登場するヒロインの一人・・・落ち目の元アイドル、通称《元アイドル》だった。

元アイドル『あのさー・・・落ち目なのは認めるけど、一応まだ現役だから《元》は省いてくんない?』
ライバル『えっと・・・そのスタイルを生かしてグラビアを中心に活躍していたが、最近は仕事も少し減少気味。芸能人だという事を意識せずに接してくる主人公に興味を持つようになる』
アイドル『説明どうもです』
幼なじみ『でもそれって実は、主人公君が(芸能人である事を)知らなかったっていうベタなオチなんだよね』

女性陣全員の視線が集中する。
(個別ルートに入らない限りは)明かされない為に、単なるクラスメイトという微妙な扱いになってしまうのが惜しい所だ。

幼なじみ『アイドルちゃんルート以外では、胸デカいだけのクラスメイトって位置づけだよね~。それに比べると私は、他の娘のルートでも・・・』
アイドル『うっさい貧乳』
幼なじみ『何だと、人気投票第4位』
アイドル『最初に攻略、後は放置』
幼なじみ『他のルートでは存在感ゼロ』
アイドル『メインヒロイン(笑)』
幼なじみ『・・・やるっていうの?一応このストーリーでは、その辺の男の子より全然強いって設定だよ?』
アイドル『フッ・・・私だって《ヒロインをいびる先輩空手女子部員》の役やった時に、一週間空手道場に通ったわよ』

【選択肢】
⇒黙って見ている
 止めに入る
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