ばきメモソルジャー

結果から先に言うと、何事も無くはなかった。

『一連の事件に関して、世界各国からも対応の遅さを指摘する声が・・・』
幼なじみ『・・・』

テレビのアナウンサーが深刻な様子で話している。
画面の右上には《緊急報道特番》とロゴが出ており、他のチャンネルに替えても似たような番組だけが報道されていた。
つまり、今は緊急事態である。

『教団施設への強制捜査は・・・』
ライバル『・・・』

当然、リーグどころの話ではない。
今、オレ達がいるのは山奥の温泉旅館の一室。
本来4人で使う部屋に8人もいれば狭く感じるが、贅沢を言えるような状況ではなかった。
 
彼女『特にめぼしい情報は無いわね』
クキカワ『そろそろ休んだらどうだ?』
マリナ『主人公君も』
彼女『大丈夫です。もう少し・・・』

寝るのすら、交替にというのが今の現状だ。
自分を含めて男が2人いるが、文句を言っていられる状況ではない。



今この部屋にいるのは自分、彼女、幼なじみ、ライバルさん。
加えて、《教団》に在籍していた神官クキカワとその上司らしきマリナと名乗った女性。
そして・・・

??『アンタねぇ!知ってたんでしょう!!』
クキカワ『・・・グッ!』

さっきまで突っ伏して泣いていた《もう一人》がクキカワに掴みかかる。
そのまま押し倒すような体勢になった。

幼なじみ『ちょ・・・ダメですって!』
ライバル『妹ちゃん、止めなさい!!』

ライバルさんと幼なじみが《もう一人》・・・彼女の双子の妹を、クキカワから引き離す。

オカルト女『大丈夫ですか?』
クキカワ『あ、ああ・・・ゲホッ』
マリナ『本当にごめんなさい。確かに、最悪のシナリオとして想定していなかった訳じゃないわ』
妹『その可能性があったなら、どうして・・・』
彼女『いい加減になさい。下手をすれば、この中の誰かが欠けていたかもしれないのよ』

その言葉に一同が黙ってしまう。

単に来られなかったという訳ではない。
ライバルさんがテレビの方を見て呟く。

ライバル『そっちに加わってた・・・って事になってたかもしれないわね』
幼なじみ『・・・』
妹『だからって・・・』

今から一週間前に起きた出来事。
詳しくは語らないが、世界におけるこの国の治安に対しての信頼を大きく揺らがせるのには十分過ぎた。
彼女の妹の言う通り、クキカワとその上司らしいマリナは(それなりに動揺してはいたものの)冷静であった。

クキカワ『・・・』
オカルト女『クキカワ・・・』

そのクキカワから事の次第を聞かされていたオカルト電波少女も、口数がいつも以上に少なくなったものの普段とそう変わらなかったと思う。
幼なじみとライバルさんも数日間はクキカワと口をきかなかったが、その後は以前と同じように接しているように見えた。


そして一見冷静を装っているように見える彼女だが、内心は色々な感情が渦巻いているのは間違いない。
事件があった2日後・・・誰かに電話しているのを偶然目撃したのだが、その口調が尋常ではなかった。
相手はクキカワかと思ったが、その日の夜に彼女の妹を伴いやってきた自称神官とは普通に話していたのでおそらく違うだろう。
そして、その相手とはおそらく・・・

妹『アイツよ!アイツのせいで!!』
彼女『落ち着きなさい。今の段階でやれる事を考えましょう』
マリナ『・・・』

アイツ。
ここにいる人間ではない誰か。
そして彼女とその妹、教団の関係者であるクキカワとマリナはその正体を知っている。
教えてもらえないのを承知で口を開こうとした、その時だった。

オカルト女『・・・!』
クキカワ『・・・来たか』

オカルト電波少女とクキカワが同時に立ち上がる。
直後に電子音のアラームが鳴り始めた。

ライバル『あら、ご指名?』
彼女『みたいですね』
幼なじみ『一応、持ってて』

催涙スプレーを渡される。
缶に印字されている取扱方を確認した。

オカルト女『では指名料、身体で払ってもらいましょうか・・・フフッ、楽しみ』
妹『オカルトちゃん、キャラ変わり過ぎ・・・』
ライバル『愛の結晶、ぶちかましちゃえば?』
クキカワ『・・・旅館を壊す気か?』
幼なじみ『それ以前に、そのネーミング・・・』
マリナ『どちらにしても、明日には出る事になりそうだけど』 
彼女『では、手筈通りに・・・』



ユリ『はい、お疲れ様でしたー!』
なつき『って、これで終わりか?』
ユリ『こっちのエンドはそうみたいですね』

なつき『うーん、何か中途半端というか消化不良だな・・・』
ユリ『もう1つのエンドでは、クキカワの正体や彼女さん達との関係も明かされる予定です』
なつき『つーか《アイツ》って一体誰なんだ?』
ユリ『教団の黒幕とされる人物ですね。この後の続編で明らかになるかもしれません』
なつき『続編って、まだ続くのか?』
ユリ『もっちろん★』
なつき『・・・』
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