ばきメモソルジャー
クキカワ『おのれっ、またしても・・・!』
いかにも悪役っぽいセリフを吐く神官クキカワ。
ロープでぐるぐる巻きにされているその姿は、ミノムシを連想させた。
幼なじみ『うーん・・・結構良い線行ってたと思うけどな』
オカルト女『惜しかったですね』
ライバル『あそこでジャンプしたのが敗因ね』
クキカワ『まさかあんな間合いから・・・グハッ』
一度後ろに飛び退こうとジャンプした次の瞬間には、地面に叩き付けられていた。
何が起こったのか、さっぱり分からない。
彼女『残念ね・・・訓練以外で初めて使ったのがこんな下郎にだなんて』
クキカワ『く・・・チート女め』
彼女『初めては・・・貴方に捧げたかったのに』
顔を赤らめてこっちを見てくるが、嫌な物は嫌です。
ライバル『もう捧げちゃってるんでしょ?』
彼女『えっと・・・まあ』
幼なじみ『えー!ずるいずるい!!』
オカルト女『貴女という人は・・・!』
ライバル『まあまあ・・・で、どうだった?』
幼なじみ『そうだよ、詳しく教えてよ!』
オカルト女『何分位かかりましたか?』
彼女『で、でも・・・』
ライバル『大丈夫、誰にも言わないから』
これ、絶対に皆に広まるパターンだよね。
クキカワ『女子校か?ここは・・・』
幼なじみ『いつまで経っても教えてくれないから、恒例のお財布タイム行こっか?』
ライバル『そうね・・・あーあ、聞きたかったなー』
クキカワ『や、やめろっ。ついでのように私の財布を漁るな!そもそも恒例って何だ、恒例って』
幼なじみ『細かい事言わないの。あ、諭吉さん発見!』
神官クキカワの財布を漁り始める女4人。
所持金を調べた後は、カードやレシートを一枚一枚チェックしている。
オカルト女『か●やの割引券に、●横インの会員証?』
幼なじみ『うわ、本当だ。よく入れたね?』
クキカワ『あまり良い顔はされなかったがな・・・』
やや緊張した顔で写っているのがシュールだ。
朝、一般人に混じっておにぎりを食べているその風景を想像してみた。
幼なじみ『そりゃあそうでしょ。フロントに来た時点で通報されないだけ有難く思わなくっちゃ・・・って、先輩どうしたの?』
彼女『ご、ごめんなさい・・・。でも・・・サラリーマンに混じって味噌汁をすくっている光景を想像したら・・・もう・・・』
必死に顔を押さえ、震えている。
ツボに入ってしまったようだ。
クキカワ『全く失礼な女だ。・・・まあ確かに、私と同じテーブルには誰も座らなかったな』
幼なじみ『エレベーターで一緒になったらちょっと嫌だよね』
非常通報ボタンを押されても、文句は言えないだろう。
ライバル『朝は混むからエレベーター2つは欲しいわね。他には・・・ポン●くんカードにゴー●ーカレーのトッピング券?なんだ、期限切れてるじゃん』
オカルト女『この近辺には無かったと思います』
クキカワ『前に行った時が、たまたまその日だったのだ』
5の付く日か。
幼なじみ『何食べたの?やっぱりメ●ャーカレー?』
クキカワ『いや、復●ツカレーだ』
彼女『だとすると、ここ最近は行ってないのね。あら・・・何かしら?』
ライバル『メモリーカードね。《miniSD》って書いてあるわ。とりあえずパソコンで見てみる?』
オカルト女『ウイルスチェック・・・問題は無いみたいです』
クキカワ『待て待て待て』
幼なじみ『オ●ズ用の画像でも入ってるの?』
オ●ズとか言うな。
クキカワ『そうではない。そもそもそんな物を財布に入れた覚えはないからな』
ライバル『そうだよね。だったら、携帯とかスマホですぐ見られるようにしておくものね』
クキカワ『・・・とりあえず、音量をミュートにしろ』
オカルト電波少女がモニターの下の部分を操作する。
パソコンの画面に《消音》と表示された。
クキカワ『この中で恐怖画像に耐性の無い人間はいるか?』
ライバル『突然、叫び声が聞こえたりするアレ?』
クキカワ『そうだ。そういった物を添付して送り付けるのは、我々の常套手段だからな・・・』
嫌がらせのレベル低過ぎ。
オカルト女『私はむしろ・・・』
クキカワ『いたら横を向いていろ。まあ、そこの少年はともかくこんな連中に通用するとは・・・2人も?』
幼なじみと彼女が、画面から目を反らした。
幼なじみ『前にそういう番組見てたら、トイレ行けなくなっちゃって・・・』
彼女『妹はそういうの好きみたいだけど、私は・・・』
クキカワ『待て待て、おかしいだろう!特にその女。恐怖の方から逃げていくぞ』
幼なじみ『あ、今の座布団一枚』
オカルト女『女の人が何か喋ってますね。それで、彼女はいつ異形の姿になるのですか?』
クキカワ『・・・期待に満ちた表情で縁起でもない事を言うな』
大晦日の蝶●に匹敵する程のビンタを喰らった神官クキカワが呆れ顔で言う。
もちろん頬には手形がクッキリと残っていた。
ライバル『で、誰なのこれ?』
クキカワ『私の上司だ』
オカルト女『では、もう一度最初から見てみましょう。それとお二人共、胸を押し当てるのは止めて下さい』
幼なじみ『あ・・・バレてた?ほら、先輩』
彼女『え・・・もう終わった?』
どうやら本気でビビっていたらしい。
ただ・・・そのネタを持ち出すと、今度はオレ自身が先程の蝶●ビンタかタイキックの餌食となるので止めておいた方が良いだろう。
オカルト女『音量戻しました。再生します』
全員が画面に注目する。
??『ごきげんよう、BMSの・・・』
幼なじみ『わわっ!?』
とんでもない大音量で女の声が流れた。
(縛られている神官クキカワ以外)全員が耳を塞ぐ。
オカルト女『すみません・・・音量上げ過ぎました』
??『ごきげんよう、BMSの皆さん。まずは自己紹介しておきましょう。おそらくそこで朽ち果てているであろうクキカワの元上司、マリナです』
女の人は黒いスーツ姿だ。
上半身しか写ってないので、どうしても下の方が気になる。
基本スカート派だけど、パンツスーツのお尻もあれはあれで・・・
『『『『なんか変な想像してない?』』』』
4人の声が見事にハモった。
クキカワ『早いとこ誰かに決めた方が身の為だぞ・・・ぐ、耳が・・・』
ライバル『それだと物語終わっちゃうからダメ』
彼女『もし私以外のルートに進んだら・・・分かってるわよね?』
絶望の未来しか思い浮かばない。
幼なじみ『世界が滅亡する、とか普通にありそうだよね』
オカルト女『あの・・・今の部分、もう一度再生して良いですか?』
ライバル『いいけど・・・何か気になる部分でもあった?』
オカルト女『はい。上司って言葉の前に《元》って付いていたような・・・』
彼女『クビ、って事でしょうね』
彼女の言った通りだった。
マリナ『女相手に連戦連敗を繰り返しているようなチ●カス早●童●(中略)野郎をいつまでも雇う程の余裕は、ウチの教団にはありません』
幼なじみ『うわぁ・・・』
彼女『・・・』
クキカワ『ま、待ってくれ!ここの女どもは特別だ!プロレスラーや相撲取りだろうと片手で放り投げ、現役ボクサーや軍人と戦ってもほぼ無傷で済むような化け物の集団だぞ!!』
ライバル『いや・・・さすがに片手だけだと難しいけど』
彼女『はい。捻るだけならともかく・・・』
身体が震えているのは、空調が効き過ぎているからだけではないだろう。
マリナ『あ、そうそう。私物は燃やしておいたから。じゃあね』
幼なじみ『む、むごい・・・』
クキカワ『地元の怖い人達だって迂闊に手は出せない。肩でもぶつかろうものなら、次の日には事務所ごと瓦礫の山だ!』
道理で時々、怖そうなお兄様達に深々と頭を下げられる訳だ。
『少し離れた所に相撲部屋があるのよ』
と彼女は言っていたが、それにしては横幅が細いと感じた。
そもそも、浴衣を着てない時点でおかしいだろう。
クキカワ『公●だけでなく、F●Iのリストにだって載っている!ついた通り名は・・・』
オカルト女『動画、とっくに終了してますけど』
画面には《もう一度はじめから》と表示されている。
彼女『もう一度見る?』
クキカワ『いや・・・やめておく』
神官クキカワは顔面蒼白だった。
まあ、あれだけボロカスに言われれば無理もないだろう。
クキカワ『私は・・・今まで・・・一体何の為に・・・』
本当に何の為だろう。
履歴書の職歴欄には、曲がり間違っても書けないし。
ライバル『まあ・・・人の事は言えないけどね』
彼女『確かに・・・』
怪しい組織や教団に所属していた時点で色々とアウト過ぎる。
調べられたら、一巻の終わりだろう。
幼なじみ『元気出しなよ。ファ●チキあげるから』
クキカワ『・・・すまない』
幼なじみ『あ!プレ●アムチキンの方あげちゃった』
ライバル『ちょっと・・・それ、私のでしょ?』
骨無しだとあんま見た目変わらないからな。
クキカワ『不審者として通報された回数は今までに33回、りん●い線に乗れば《今日はその日じゃありませんよ》《会場外でのコスプレは禁止ですよ》と・・・』
彼女『思ったよりも少ないわね』
ライバル『うん、3ケタは堅いと思ってた』
オカルト女『・・・今日の分を忘れていませんか?』
クキカワ『あ、そうか。34回だな』
幼なじみ『良かったね、気が付いて。ポテト食べる?』
クキカワ『新発売のやつか・・・いただこう』
パクっと食い付く。
水族館の餌やりみたいな光景だ。
彼女『私も一本貰うわ。それで・・・貴方これからどうするの?』
オカルト『そろそろ真面目に働いたらどうです?』
この自称神官の怪しい男にそんな事を言っても無意味だろう。
ところが。
クキカワ『そうだな・・・そうしよう』
幼なじみ『え、ウソ?何その急展開?スポンサーにでも逃げられた?』
スポンサーって何だ、スポンサーって。
視聴率大惨敗のドラマじゃあるまいし。
彼女『では私達も・・・野球の世界に戻りましょうか』
オカルト女『そうですね、ガサ入れも近い事ですし』
ライバル『みんな私物まとめてー!段ボールは一人二箱ね。処分するのはこっちで、ちゃんと分別する事』
はーい、と返事し撤収作業を始める女3人。
オレと幼なじみだけが、事態を把握できずにいた。
幼なじみ『え・・・何か、全然付いていけないんだけど?』
彼女『ほら、何やってるの。明日には業者が来るわよ』
彼女に急かされ、私物の整理を始めるオレと幼なじみ。
ライバル『いくわよ、せーの・・・』
クキカワ『さすがに重いな・・・。少年、ドアを開けてくれ』
いつの間にか拘束を解かれていた神官クキカワが《ライバル》さんとパソコンを抱えている。
一体何なんだ、これは。
いかにも悪役っぽいセリフを吐く神官クキカワ。
ロープでぐるぐる巻きにされているその姿は、ミノムシを連想させた。
幼なじみ『うーん・・・結構良い線行ってたと思うけどな』
オカルト女『惜しかったですね』
ライバル『あそこでジャンプしたのが敗因ね』
クキカワ『まさかあんな間合いから・・・グハッ』
一度後ろに飛び退こうとジャンプした次の瞬間には、地面に叩き付けられていた。
何が起こったのか、さっぱり分からない。
彼女『残念ね・・・訓練以外で初めて使ったのがこんな下郎にだなんて』
クキカワ『く・・・チート女め』
彼女『初めては・・・貴方に捧げたかったのに』
顔を赤らめてこっちを見てくるが、嫌な物は嫌です。
ライバル『もう捧げちゃってるんでしょ?』
彼女『えっと・・・まあ』
幼なじみ『えー!ずるいずるい!!』
オカルト女『貴女という人は・・・!』
ライバル『まあまあ・・・で、どうだった?』
幼なじみ『そうだよ、詳しく教えてよ!』
オカルト女『何分位かかりましたか?』
彼女『で、でも・・・』
ライバル『大丈夫、誰にも言わないから』
これ、絶対に皆に広まるパターンだよね。
クキカワ『女子校か?ここは・・・』
幼なじみ『いつまで経っても教えてくれないから、恒例のお財布タイム行こっか?』
ライバル『そうね・・・あーあ、聞きたかったなー』
クキカワ『や、やめろっ。ついでのように私の財布を漁るな!そもそも恒例って何だ、恒例って』
幼なじみ『細かい事言わないの。あ、諭吉さん発見!』
神官クキカワの財布を漁り始める女4人。
所持金を調べた後は、カードやレシートを一枚一枚チェックしている。
オカルト女『か●やの割引券に、●横インの会員証?』
幼なじみ『うわ、本当だ。よく入れたね?』
クキカワ『あまり良い顔はされなかったがな・・・』
やや緊張した顔で写っているのがシュールだ。
朝、一般人に混じっておにぎりを食べているその風景を想像してみた。
幼なじみ『そりゃあそうでしょ。フロントに来た時点で通報されないだけ有難く思わなくっちゃ・・・って、先輩どうしたの?』
彼女『ご、ごめんなさい・・・。でも・・・サラリーマンに混じって味噌汁をすくっている光景を想像したら・・・もう・・・』
必死に顔を押さえ、震えている。
ツボに入ってしまったようだ。
クキカワ『全く失礼な女だ。・・・まあ確かに、私と同じテーブルには誰も座らなかったな』
幼なじみ『エレベーターで一緒になったらちょっと嫌だよね』
非常通報ボタンを押されても、文句は言えないだろう。
ライバル『朝は混むからエレベーター2つは欲しいわね。他には・・・ポン●くんカードにゴー●ーカレーのトッピング券?なんだ、期限切れてるじゃん』
オカルト女『この近辺には無かったと思います』
クキカワ『前に行った時が、たまたまその日だったのだ』
5の付く日か。
幼なじみ『何食べたの?やっぱりメ●ャーカレー?』
クキカワ『いや、復●ツカレーだ』
彼女『だとすると、ここ最近は行ってないのね。あら・・・何かしら?』
ライバル『メモリーカードね。《miniSD》って書いてあるわ。とりあえずパソコンで見てみる?』
オカルト女『ウイルスチェック・・・問題は無いみたいです』
クキカワ『待て待て待て』
幼なじみ『オ●ズ用の画像でも入ってるの?』
オ●ズとか言うな。
クキカワ『そうではない。そもそもそんな物を財布に入れた覚えはないからな』
ライバル『そうだよね。だったら、携帯とかスマホですぐ見られるようにしておくものね』
クキカワ『・・・とりあえず、音量をミュートにしろ』
オカルト電波少女がモニターの下の部分を操作する。
パソコンの画面に《消音》と表示された。
クキカワ『この中で恐怖画像に耐性の無い人間はいるか?』
ライバル『突然、叫び声が聞こえたりするアレ?』
クキカワ『そうだ。そういった物を添付して送り付けるのは、我々の常套手段だからな・・・』
嫌がらせのレベル低過ぎ。
オカルト女『私はむしろ・・・』
クキカワ『いたら横を向いていろ。まあ、そこの少年はともかくこんな連中に通用するとは・・・2人も?』
幼なじみと彼女が、画面から目を反らした。
幼なじみ『前にそういう番組見てたら、トイレ行けなくなっちゃって・・・』
彼女『妹はそういうの好きみたいだけど、私は・・・』
クキカワ『待て待て、おかしいだろう!特にその女。恐怖の方から逃げていくぞ』
幼なじみ『あ、今の座布団一枚』
オカルト女『女の人が何か喋ってますね。それで、彼女はいつ異形の姿になるのですか?』
クキカワ『・・・期待に満ちた表情で縁起でもない事を言うな』
大晦日の蝶●に匹敵する程のビンタを喰らった神官クキカワが呆れ顔で言う。
もちろん頬には手形がクッキリと残っていた。
ライバル『で、誰なのこれ?』
クキカワ『私の上司だ』
オカルト女『では、もう一度最初から見てみましょう。それとお二人共、胸を押し当てるのは止めて下さい』
幼なじみ『あ・・・バレてた?ほら、先輩』
彼女『え・・・もう終わった?』
どうやら本気でビビっていたらしい。
ただ・・・そのネタを持ち出すと、今度はオレ自身が先程の蝶●ビンタかタイキックの餌食となるので止めておいた方が良いだろう。
オカルト女『音量戻しました。再生します』
全員が画面に注目する。
??『ごきげんよう、BMSの・・・』
幼なじみ『わわっ!?』
とんでもない大音量で女の声が流れた。
(縛られている神官クキカワ以外)全員が耳を塞ぐ。
オカルト女『すみません・・・音量上げ過ぎました』
??『ごきげんよう、BMSの皆さん。まずは自己紹介しておきましょう。おそらくそこで朽ち果てているであろうクキカワの元上司、マリナです』
女の人は黒いスーツ姿だ。
上半身しか写ってないので、どうしても下の方が気になる。
基本スカート派だけど、パンツスーツのお尻もあれはあれで・・・
『『『『なんか変な想像してない?』』』』
4人の声が見事にハモった。
クキカワ『早いとこ誰かに決めた方が身の為だぞ・・・ぐ、耳が・・・』
ライバル『それだと物語終わっちゃうからダメ』
彼女『もし私以外のルートに進んだら・・・分かってるわよね?』
絶望の未来しか思い浮かばない。
幼なじみ『世界が滅亡する、とか普通にありそうだよね』
オカルト女『あの・・・今の部分、もう一度再生して良いですか?』
ライバル『いいけど・・・何か気になる部分でもあった?』
オカルト女『はい。上司って言葉の前に《元》って付いていたような・・・』
彼女『クビ、って事でしょうね』
彼女の言った通りだった。
マリナ『女相手に連戦連敗を繰り返しているようなチ●カス早●童●(中略)野郎をいつまでも雇う程の余裕は、ウチの教団にはありません』
幼なじみ『うわぁ・・・』
彼女『・・・』
クキカワ『ま、待ってくれ!ここの女どもは特別だ!プロレスラーや相撲取りだろうと片手で放り投げ、現役ボクサーや軍人と戦ってもほぼ無傷で済むような化け物の集団だぞ!!』
ライバル『いや・・・さすがに片手だけだと難しいけど』
彼女『はい。捻るだけならともかく・・・』
身体が震えているのは、空調が効き過ぎているからだけではないだろう。
マリナ『あ、そうそう。私物は燃やしておいたから。じゃあね』
幼なじみ『む、むごい・・・』
クキカワ『地元の怖い人達だって迂闊に手は出せない。肩でもぶつかろうものなら、次の日には事務所ごと瓦礫の山だ!』
道理で時々、怖そうなお兄様達に深々と頭を下げられる訳だ。
『少し離れた所に相撲部屋があるのよ』
と彼女は言っていたが、それにしては横幅が細いと感じた。
そもそも、浴衣を着てない時点でおかしいだろう。
クキカワ『公●だけでなく、F●Iのリストにだって載っている!ついた通り名は・・・』
オカルト女『動画、とっくに終了してますけど』
画面には《もう一度はじめから》と表示されている。
彼女『もう一度見る?』
クキカワ『いや・・・やめておく』
神官クキカワは顔面蒼白だった。
まあ、あれだけボロカスに言われれば無理もないだろう。
クキカワ『私は・・・今まで・・・一体何の為に・・・』
本当に何の為だろう。
履歴書の職歴欄には、曲がり間違っても書けないし。
ライバル『まあ・・・人の事は言えないけどね』
彼女『確かに・・・』
怪しい組織や教団に所属していた時点で色々とアウト過ぎる。
調べられたら、一巻の終わりだろう。
幼なじみ『元気出しなよ。ファ●チキあげるから』
クキカワ『・・・すまない』
幼なじみ『あ!プレ●アムチキンの方あげちゃった』
ライバル『ちょっと・・・それ、私のでしょ?』
骨無しだとあんま見た目変わらないからな。
クキカワ『不審者として通報された回数は今までに33回、りん●い線に乗れば《今日はその日じゃありませんよ》《会場外でのコスプレは禁止ですよ》と・・・』
彼女『思ったよりも少ないわね』
ライバル『うん、3ケタは堅いと思ってた』
オカルト女『・・・今日の分を忘れていませんか?』
クキカワ『あ、そうか。34回だな』
幼なじみ『良かったね、気が付いて。ポテト食べる?』
クキカワ『新発売のやつか・・・いただこう』
パクっと食い付く。
水族館の餌やりみたいな光景だ。
彼女『私も一本貰うわ。それで・・・貴方これからどうするの?』
オカルト『そろそろ真面目に働いたらどうです?』
この自称神官の怪しい男にそんな事を言っても無意味だろう。
ところが。
クキカワ『そうだな・・・そうしよう』
幼なじみ『え、ウソ?何その急展開?スポンサーにでも逃げられた?』
スポンサーって何だ、スポンサーって。
視聴率大惨敗のドラマじゃあるまいし。
彼女『では私達も・・・野球の世界に戻りましょうか』
オカルト女『そうですね、ガサ入れも近い事ですし』
ライバル『みんな私物まとめてー!段ボールは一人二箱ね。処分するのはこっちで、ちゃんと分別する事』
はーい、と返事し撤収作業を始める女3人。
オレと幼なじみだけが、事態を把握できずにいた。
幼なじみ『え・・・何か、全然付いていけないんだけど?』
彼女『ほら、何やってるの。明日には業者が来るわよ』
彼女に急かされ、私物の整理を始めるオレと幼なじみ。
ライバル『いくわよ、せーの・・・』
クキカワ『さすがに重いな・・・。少年、ドアを開けてくれ』
いつの間にか拘束を解かれていた神官クキカワが《ライバル》さんとパソコンを抱えている。
一体何なんだ、これは。