ばきメモソルジャー
クキカワ『おのれ・・・クソ女どもがっ!』
それから10分後。
何重にも縄を巻かれ、哀れな姿となった神官クキカワが転がっていた。
オカルト女『無様ですね』
彼女『洗いざらい吐いてもらうわよ』
正直、呆気無さ過ぎです。
クキカワ『・・・だったらキミは、アマゾネスの村に一人で放り込まれて無事生還できるというのか?』
無理です。
ここにいるアマゾネスと1vs1で戦っても勝てませんから。
彼女『誰がアマゾネスですって?』
ライバル『聞き捨てならないわね・・・』
幼なじみ『なーんだ。お金あんま持ってないじゃん・・・』
クキカワ『よ、よせっ!それは帰りの電車賃・・・』
電車で帰るのかよ!
オカルト女『貴方の場合、一度能力を使うと3時間は使えないらしいですね』
幼なじみ『意外と不便なんだね・・・あ、ツ●ヤのカードだ』
ライバル『近くのショッピングモールのポイントカードに、ビッ●カメラのカード?わ、未使用のマッ●カードだ。ちょうだい?』
クキカワ『・・・勝手にしろ。私も最近は行ってない』
幼なじみ『あー・・・確かにカウンターのメニューが無くなってから、行く機会減ったよねー』
何年前の話だ。
ライバル『お、スタンプ結構貯まってるね。何か貰えるの?』
クキカワ『500円安くなるだけだ・・・』
ライバル『そっか、じゃあいいや。後は・・・日●屋の大盛券?とっくに期限切れてるじゃん』
彼女『そもそも今は配って・・・あら、何かしら?』
レシートに混じって、小さなカードが出てきた。
《miniSD》と書いてある。
幼なじみ『見ていい?』
オカルト女『断る必要は無いでしょう』
彼女『そうね・・・』
クキカワ『・・・ちょっと待て』
ライバル『何?見られると困るの?』
彼女『この期に及んで往生際が悪いわね・・・』
これではどっちが悪役か、分からない。
オカルト女『何も恥じる事はありません』
幼なじみ『そうだよ。男の人だったら誰でも持ってるよ、ね?』
嬉しそうにオレを見る幼なじみ。
だが、次に神官クキカワが口にしたのは意外な言葉だった。
クキカワ『・・・そうではない。私はそのようなカードに一切見覚えが無いのだ』
彼女『ウイルスだったら承知しないわよ・・・』
クキカワ『だったらウイルスチェックするか、ネットカフェにでも行きたまえ・・・』
ライバル『一応、ウイルスバ●ターは入れてあるけど』
とりあえず、メインのデスクトップではなく予備で使っているノートパソコンに差し込む。
オカルト女『動画データですね。再生しますか?』
ライバル『お願い』
幼なじみ『ドキドキ・・・』
再生ボタンをクリックする。
神官クキカワを含めた全員が画面に注目した。
??『ごきげんよう、BMSの皆さん。この動画が再生されたという事は、大方の予想通りクキカワが負けたという前提で進めて問題無いわね』
黒い服を着た女の人が話し始めた。
あ、意外と好みかも・・・
『『『『なに、ニヤニヤしてるの!?』』』』
4人の声が見事にハモった。
クキカワ『大変だな、キミも・・・』
続きを見てみる。
??『そういえば、自己紹介がまだだったわね。マリナよ、マリナ。おそらく、そこで縛られてるかボロ雑巾みたいに転がっているクキカワの上司って認識で問題無いと思うわ』
縛られている上に、ボロ雑巾みたいに転がされてます。
オカルト女『幹部クラス・・・でしょうか?』
彼女『初めて見る顔ね・・・』
幼なじみ『声にも聞き覚えは無いですね・・・』
ライバル『年は私と同じ位ね。化粧品、何使ってるのかしら・・・』
ピントがずれている人が約一名。
マリナ『ま、そういう訳で物語が中盤を過ぎた辺りで宣戦布告すると思うわ。じゃあね』
彼女『教団・・・よくも』
幼なじみ『随分はしょっちゃったね』
マリナ『あ、そうそう。クキカワだけど、しばらくはそっちで好きに使って構わないから』
クキカワ『な・・・』
マリナ『詳しい取説はPDFに入れておいたわ。それじゃ、また物語の後半でね』
動画は終了した。
続いて、PDFファイルを閲覧する。
幼なじみ『あ、ホントだ。3時間経たないと使えないって書いてある』
彼女『1時間ごとに15分の休憩を・・・そんなの守っている人、今時いないでしょう』
オカルト女『好きな食べ物・・・鶏の唐揚げ、カツ丼、ラーメン(家系)、カロリー●イト(バニラ)』
バニラって事は、以前はプレーン派だったのかもしれない。
ライバル『から●げくん、食べる?』
クキカワ『いただこう・・・もぐもぐ』
幼なじみ『何か楽しそうだね。私も次、良い?』
オカルト女『では、私も・・・』
代わる代わる、女の子達が(縛られた状態の)神官クキカワにから●げくんを食べさせている様子はなかなかシュールだった。
クキカワ『ほうか・・・わふぁしはふてらへたのか・・・』
幼なじみ『そうみたいだね。元気出そっ』
クキカワ『ふぁが・・・わふぁしは・・・』
彼女『L●キ食べるか、喋るかどっちかにして』
オカルト女『貴方達は蛆虫にも劣ります』
クキカワ『哀れな連中よ・・・フフフフフ』
彼女『所詮はチンピラね・・・他愛の無い』
辺り一帯を焼け野原にしておいて、チンピラはどっちだよ!
と、口には出さず(言うと彼女に殴られるので)心の中で呟いた。
ライバル『あー、終わった終わった!帰って一杯やるわよ!!』
彼女『報告書の作成が先です』
ライバル『かったいなー。明日で良くない?』
彼女『ダメです。今日できる事は今日やりましょう』
幼なじみ『ねえねえ、クッキーはいつまで居られそうなの?』
いつの間に《クッキー》とお菓子みたいなあだ名を付けられた神官クキカワ。
彼が組織に加わって、半年が経っていた。
クキカワ『私か?そうだな・・・あと何回か依頼をこなせば目標金額を超え、それに合わせて教団が宣戦布告を行う。おそらくその前後だろう』
幼なじみ『そっかー。そういうストーリーだって分かってはいるけど、寂しいな・・・』
クキカワ『その言葉、胸に刻んでおこう』
彼も元はまともな人間だったのかもしれない。
文句を言いながらも雑用を手伝ってくれ、組織の危機を救ってくれた事もあった。
ライバル『通勤、遠くからだと大変じゃない?』
クキカワ『確かにな。朝の混雑はキツいし、定期代もバカにならん・・・』
定期使ってるのかよ!
よく今まで不審者として通報されなかったと思う。
ライバル『テレポート使えば?帰りは時々使ってるみたいだけど・・・』
幼なじみ『3時間経てば大丈夫なんでしょ?』
クキカワ『・・・私が来た直後に何らかの事態が発生したらどうする?』
彼の発した言葉に全員がハッとする。
ライバル『・・・年のせいかな?最近涙もろくって』
オカルト女『神官クキカワ、心からの敬意を表します』
幼なじみ『もし戦う事になっても、手加減しようね・・・絶対だよ?』
クキカワ『フ・・・善処しよう』
女性3人に密着され、彼もまんざらでないようだ。
教団連中とも、いつかは分かり合えるかもしれない。
そんな事を考えていた時だった。
彼女『・・・ちょっと待って』
幼なじみ『・・・何?今、感動のシーンなんだけど』
ライバル『製品版なら一枚絵が表示されてる所ね』
オカルト女『《後で仲間に復帰するフラグ》折らないでもらえますか?』
何だよ、フラグって。
彼女『クッキー、貴方さっき《定期》って言ったわよね?』
クキカワ『ああ・・・』
幼なじみ『ス●カ定期だ』
オカルト女『コンビニでも使えて便利ですね』
名前は《シンカン クキカワ》となっていた。
見つかったらヤバいだろ、これ。
クキカワ『自販機でもな。仕事帰りに飲む缶コーヒーは格別だ』
彼女『それには同意するけど・・・前に提出してもらった通勤費の申請、《回数券》って書いてあったわよ』
通勤費出てるのかよ!
しかもやる事ショボ過ぎ。
幼なじみ『クッキー・・・?』
ライバル『教官として見過ごす訳にはいかないわね』
クキカワ『く・・・おのれ年増女。貴様の誘導尋問さえ無ければ・・・』
彼女『悪あがきは止めなさい。それに例え本当の事とはいえ、言って良い事と悪い事があるわ』
あ、地雷踏んだ。
クキカワ『やれやれ、相変わらず醜いね・・・』
オカルト女『誰のせいだと思っているんですか・・・』
事務所の一つ上の階に位置する道場。
見事な連携で報告書(宛先が明らかにカタギの名前ではなかったのは、見なかった事にしておきたい)を仕上げたオレ達BMSのメンバー(+クキカワ)は、マットが敷かれたこの場所に来ていた。
彼女『・・・ハァッ!』
ライバル『なんのっ!』
幼なじみ『ウソ!?今の全く見えなかった!!』
もちろんオレはというと、最初から何が何だか分からない。
元々の何らかの格闘技の道場だったらしく《体験入門実施中!女性・子供も歓迎》という文字がうっすらと見える。
窓に貼ってあったステッカーを剥がした後なのかもしれない。
おそらく子供は子供、女性は女性同士でやっていたのだろう。
彼女『せやぁっ!』
ライバル『甘いっ!』
オカルト女『・・・!』
そして目の前で凄まじい闘いを繰り広げている二人。
片方は(確認済みなので)間違いなく、そしてもう片方も(海水浴に行った時の水着姿を見た限りでは)ほぼ間違いなく女性だ。
幼なじみ『あー・・・そういや、ガン見したのバレてボッコボコにされてたよね』
クキカワ『そんな事もあったな・・・』
オカルト女『大変でしたね・・・』
あまりの惨状に警察までもが来る事態となってしまったが、オカルト電波少女とクキカワの怪しい魔術により何とか事なきを得た。
ライバル『ふぅ・・・良い運動になったわ』
(あれだけの激闘を繰り広げたにも関わらず)ほとんど汗をかいていない。
二人とも全く堪えていないようだった。
彼女『そうですね。さ、帰るわよ』
と、思いきや彼女の方は顔が少し紅潮している。
よく見ると汗も少し滴っていた。
ライバル『あら、疼いてきちゃった?』
彼女『え、えっと・・・』
幼なじみ『むー・・・帰ろっか』
オカルト女『・・・はい』
幼なじみが冷たい目で見てくる。
オカルト電波少女が《ケダモノ》と口の動きだけで伝えてきた。
クキカワ『では私も・・・』
ライバル『うーん、何か私も疼いてきたわね・・・』
クキカワ『・・・ひっ!?』
幼なじみ『お、お疲れ様でした・・・』
オカルト女『ま、また明日・・・』
彼女『行きましょ?』
そそくさと道場を後にする、BMSのメンバー(ライバルさんを除く)。
クキカワ『お、おい誰か・・・ひぎゃあああぁぁぁ!!』
ライバル『いっただきまーす♪』
そして次の日。
出勤したオレ達が見た物は、妙にツヤツヤしたライバルさんと別人のようにゲッソリと干からびた神官クキカワの姿だった・・・。
なつき『なんとまあ・・・』
ユリ『とそんな訳で、エンディングも最後の一つを残すだけとなりました・・・』
なつき『・・・食われちゃったのか』
ユリ『らしいですね。・・・色々な意味で』
なつき『・・・』
ユリ『・・・』
なつき『で、この神官クキカワって何者なんだ?主人公と幼なじみ以外は何か知ってるっぽいけど』
ユリ『お、さすが先生』
なつき『最後のエンディングとやらで明らかになるのか?』
ユリ『その予定でしたけど、長くなりそうなので一旦区切って続編を製作するらしいです』
なつき『続編・・・ねぇ』
ユリ『という訳で、次はいよいよ最後のエンディングです』
なつき『《組み手》⇒《幼なじみ》で良いんだよな?』
ユリ『はい。もし、他のエンディングを見てないのであれば先に見ておく事をオススメします』
なつき『基本的にどのエンディングも破壊活動して終わりだろ?』
ユリ『いや、まあそうなんですけど・・・』
それから10分後。
何重にも縄を巻かれ、哀れな姿となった神官クキカワが転がっていた。
オカルト女『無様ですね』
彼女『洗いざらい吐いてもらうわよ』
正直、呆気無さ過ぎです。
クキカワ『・・・だったらキミは、アマゾネスの村に一人で放り込まれて無事生還できるというのか?』
無理です。
ここにいるアマゾネスと1vs1で戦っても勝てませんから。
彼女『誰がアマゾネスですって?』
ライバル『聞き捨てならないわね・・・』
幼なじみ『なーんだ。お金あんま持ってないじゃん・・・』
クキカワ『よ、よせっ!それは帰りの電車賃・・・』
電車で帰るのかよ!
オカルト女『貴方の場合、一度能力を使うと3時間は使えないらしいですね』
幼なじみ『意外と不便なんだね・・・あ、ツ●ヤのカードだ』
ライバル『近くのショッピングモールのポイントカードに、ビッ●カメラのカード?わ、未使用のマッ●カードだ。ちょうだい?』
クキカワ『・・・勝手にしろ。私も最近は行ってない』
幼なじみ『あー・・・確かにカウンターのメニューが無くなってから、行く機会減ったよねー』
何年前の話だ。
ライバル『お、スタンプ結構貯まってるね。何か貰えるの?』
クキカワ『500円安くなるだけだ・・・』
ライバル『そっか、じゃあいいや。後は・・・日●屋の大盛券?とっくに期限切れてるじゃん』
彼女『そもそも今は配って・・・あら、何かしら?』
レシートに混じって、小さなカードが出てきた。
《miniSD》と書いてある。
幼なじみ『見ていい?』
オカルト女『断る必要は無いでしょう』
彼女『そうね・・・』
クキカワ『・・・ちょっと待て』
ライバル『何?見られると困るの?』
彼女『この期に及んで往生際が悪いわね・・・』
これではどっちが悪役か、分からない。
オカルト女『何も恥じる事はありません』
幼なじみ『そうだよ。男の人だったら誰でも持ってるよ、ね?』
嬉しそうにオレを見る幼なじみ。
だが、次に神官クキカワが口にしたのは意外な言葉だった。
クキカワ『・・・そうではない。私はそのようなカードに一切見覚えが無いのだ』
彼女『ウイルスだったら承知しないわよ・・・』
クキカワ『だったらウイルスチェックするか、ネットカフェにでも行きたまえ・・・』
ライバル『一応、ウイルスバ●ターは入れてあるけど』
とりあえず、メインのデスクトップではなく予備で使っているノートパソコンに差し込む。
オカルト女『動画データですね。再生しますか?』
ライバル『お願い』
幼なじみ『ドキドキ・・・』
再生ボタンをクリックする。
神官クキカワを含めた全員が画面に注目した。
??『ごきげんよう、BMSの皆さん。この動画が再生されたという事は、大方の予想通りクキカワが負けたという前提で進めて問題無いわね』
黒い服を着た女の人が話し始めた。
あ、意外と好みかも・・・
『『『『なに、ニヤニヤしてるの!?』』』』
4人の声が見事にハモった。
クキカワ『大変だな、キミも・・・』
続きを見てみる。
??『そういえば、自己紹介がまだだったわね。マリナよ、マリナ。おそらく、そこで縛られてるかボロ雑巾みたいに転がっているクキカワの上司って認識で問題無いと思うわ』
縛られている上に、ボロ雑巾みたいに転がされてます。
オカルト女『幹部クラス・・・でしょうか?』
彼女『初めて見る顔ね・・・』
幼なじみ『声にも聞き覚えは無いですね・・・』
ライバル『年は私と同じ位ね。化粧品、何使ってるのかしら・・・』
ピントがずれている人が約一名。
マリナ『ま、そういう訳で物語が中盤を過ぎた辺りで宣戦布告すると思うわ。じゃあね』
彼女『教団・・・よくも』
幼なじみ『随分はしょっちゃったね』
マリナ『あ、そうそう。クキカワだけど、しばらくはそっちで好きに使って構わないから』
クキカワ『な・・・』
マリナ『詳しい取説はPDFに入れておいたわ。それじゃ、また物語の後半でね』
動画は終了した。
続いて、PDFファイルを閲覧する。
幼なじみ『あ、ホントだ。3時間経たないと使えないって書いてある』
彼女『1時間ごとに15分の休憩を・・・そんなの守っている人、今時いないでしょう』
オカルト女『好きな食べ物・・・鶏の唐揚げ、カツ丼、ラーメン(家系)、カロリー●イト(バニラ)』
バニラって事は、以前はプレーン派だったのかもしれない。
ライバル『から●げくん、食べる?』
クキカワ『いただこう・・・もぐもぐ』
幼なじみ『何か楽しそうだね。私も次、良い?』
オカルト女『では、私も・・・』
代わる代わる、女の子達が(縛られた状態の)神官クキカワにから●げくんを食べさせている様子はなかなかシュールだった。
クキカワ『ほうか・・・わふぁしはふてらへたのか・・・』
幼なじみ『そうみたいだね。元気出そっ』
クキカワ『ふぁが・・・わふぁしは・・・』
彼女『L●キ食べるか、喋るかどっちかにして』
オカルト女『貴方達は蛆虫にも劣ります』
クキカワ『哀れな連中よ・・・フフフフフ』
彼女『所詮はチンピラね・・・他愛の無い』
辺り一帯を焼け野原にしておいて、チンピラはどっちだよ!
と、口には出さず(言うと彼女に殴られるので)心の中で呟いた。
ライバル『あー、終わった終わった!帰って一杯やるわよ!!』
彼女『報告書の作成が先です』
ライバル『かったいなー。明日で良くない?』
彼女『ダメです。今日できる事は今日やりましょう』
幼なじみ『ねえねえ、クッキーはいつまで居られそうなの?』
いつの間に《クッキー》とお菓子みたいなあだ名を付けられた神官クキカワ。
彼が組織に加わって、半年が経っていた。
クキカワ『私か?そうだな・・・あと何回か依頼をこなせば目標金額を超え、それに合わせて教団が宣戦布告を行う。おそらくその前後だろう』
幼なじみ『そっかー。そういうストーリーだって分かってはいるけど、寂しいな・・・』
クキカワ『その言葉、胸に刻んでおこう』
彼も元はまともな人間だったのかもしれない。
文句を言いながらも雑用を手伝ってくれ、組織の危機を救ってくれた事もあった。
ライバル『通勤、遠くからだと大変じゃない?』
クキカワ『確かにな。朝の混雑はキツいし、定期代もバカにならん・・・』
定期使ってるのかよ!
よく今まで不審者として通報されなかったと思う。
ライバル『テレポート使えば?帰りは時々使ってるみたいだけど・・・』
幼なじみ『3時間経てば大丈夫なんでしょ?』
クキカワ『・・・私が来た直後に何らかの事態が発生したらどうする?』
彼の発した言葉に全員がハッとする。
ライバル『・・・年のせいかな?最近涙もろくって』
オカルト女『神官クキカワ、心からの敬意を表します』
幼なじみ『もし戦う事になっても、手加減しようね・・・絶対だよ?』
クキカワ『フ・・・善処しよう』
女性3人に密着され、彼もまんざらでないようだ。
教団連中とも、いつかは分かり合えるかもしれない。
そんな事を考えていた時だった。
彼女『・・・ちょっと待って』
幼なじみ『・・・何?今、感動のシーンなんだけど』
ライバル『製品版なら一枚絵が表示されてる所ね』
オカルト女『《後で仲間に復帰するフラグ》折らないでもらえますか?』
何だよ、フラグって。
彼女『クッキー、貴方さっき《定期》って言ったわよね?』
クキカワ『ああ・・・』
幼なじみ『ス●カ定期だ』
オカルト女『コンビニでも使えて便利ですね』
名前は《シンカン クキカワ》となっていた。
見つかったらヤバいだろ、これ。
クキカワ『自販機でもな。仕事帰りに飲む缶コーヒーは格別だ』
彼女『それには同意するけど・・・前に提出してもらった通勤費の申請、《回数券》って書いてあったわよ』
通勤費出てるのかよ!
しかもやる事ショボ過ぎ。
幼なじみ『クッキー・・・?』
ライバル『教官として見過ごす訳にはいかないわね』
クキカワ『く・・・おのれ年増女。貴様の誘導尋問さえ無ければ・・・』
彼女『悪あがきは止めなさい。それに例え本当の事とはいえ、言って良い事と悪い事があるわ』
あ、地雷踏んだ。
クキカワ『やれやれ、相変わらず醜いね・・・』
オカルト女『誰のせいだと思っているんですか・・・』
事務所の一つ上の階に位置する道場。
見事な連携で報告書(宛先が明らかにカタギの名前ではなかったのは、見なかった事にしておきたい)を仕上げたオレ達BMSのメンバー(+クキカワ)は、マットが敷かれたこの場所に来ていた。
彼女『・・・ハァッ!』
ライバル『なんのっ!』
幼なじみ『ウソ!?今の全く見えなかった!!』
もちろんオレはというと、最初から何が何だか分からない。
元々の何らかの格闘技の道場だったらしく《体験入門実施中!女性・子供も歓迎》という文字がうっすらと見える。
窓に貼ってあったステッカーを剥がした後なのかもしれない。
おそらく子供は子供、女性は女性同士でやっていたのだろう。
彼女『せやぁっ!』
ライバル『甘いっ!』
オカルト女『・・・!』
そして目の前で凄まじい闘いを繰り広げている二人。
片方は(確認済みなので)間違いなく、そしてもう片方も(海水浴に行った時の水着姿を見た限りでは)ほぼ間違いなく女性だ。
幼なじみ『あー・・・そういや、ガン見したのバレてボッコボコにされてたよね』
クキカワ『そんな事もあったな・・・』
オカルト女『大変でしたね・・・』
あまりの惨状に警察までもが来る事態となってしまったが、オカルト電波少女とクキカワの怪しい魔術により何とか事なきを得た。
ライバル『ふぅ・・・良い運動になったわ』
(あれだけの激闘を繰り広げたにも関わらず)ほとんど汗をかいていない。
二人とも全く堪えていないようだった。
彼女『そうですね。さ、帰るわよ』
と、思いきや彼女の方は顔が少し紅潮している。
よく見ると汗も少し滴っていた。
ライバル『あら、疼いてきちゃった?』
彼女『え、えっと・・・』
幼なじみ『むー・・・帰ろっか』
オカルト女『・・・はい』
幼なじみが冷たい目で見てくる。
オカルト電波少女が《ケダモノ》と口の動きだけで伝えてきた。
クキカワ『では私も・・・』
ライバル『うーん、何か私も疼いてきたわね・・・』
クキカワ『・・・ひっ!?』
幼なじみ『お、お疲れ様でした・・・』
オカルト女『ま、また明日・・・』
彼女『行きましょ?』
そそくさと道場を後にする、BMSのメンバー(ライバルさんを除く)。
クキカワ『お、おい誰か・・・ひぎゃあああぁぁぁ!!』
ライバル『いっただきまーす♪』
そして次の日。
出勤したオレ達が見た物は、妙にツヤツヤしたライバルさんと別人のようにゲッソリと干からびた神官クキカワの姿だった・・・。
なつき『なんとまあ・・・』
ユリ『とそんな訳で、エンディングも最後の一つを残すだけとなりました・・・』
なつき『・・・食われちゃったのか』
ユリ『らしいですね。・・・色々な意味で』
なつき『・・・』
ユリ『・・・』
なつき『で、この神官クキカワって何者なんだ?主人公と幼なじみ以外は何か知ってるっぽいけど』
ユリ『お、さすが先生』
なつき『最後のエンディングとやらで明らかになるのか?』
ユリ『その予定でしたけど、長くなりそうなので一旦区切って続編を製作するらしいです』
なつき『続編・・・ねぇ』
ユリ『という訳で、次はいよいよ最後のエンディングです』
なつき『《組み手》⇒《幼なじみ》で良いんだよな?』
ユリ『はい。もし、他のエンディングを見てないのであれば先に見ておく事をオススメします』
なつき『基本的にどのエンディングも破壊活動して終わりだろ?』
ユリ『いや、まあそうなんですけど・・・』