ばきメモソルジャー

【他の部屋も見たい】
他の部屋も見てみたい。

ライバル『なに?着替えとか見たいの?だったら・・・』
彼女『人目に付かない所でお願いします』
ライバル『ちょっと、離して~』

《ライバル》さんが連行されていく。

幼なじみ『えっと・・・どうする?』
オカルト女『私達も入った事の無い部屋、結構あるんですよ。ドアを開けたらそこには・・・みたいな、2時間ドラマ的展開を期待してしまいますね』

それは勘弁してほしい。

【選択肢】
⇒左側の扉
 右側の扉


【左側の扉】
左の扉にしよう。

幼なじみ『・・・寒っ!』
オカルト女『わ・・・』

扉を開けるなり、凄まじい冷気が吹き込んできた。
不自然なまでに空調が効かされているようだ。
部屋の中を見渡してみる。

幼なじみ『え・・・何コレ、ヤバくない?』
オカルト女『モニターが・・・ざっと20、いや30はありますね』

特撮ヒーロー物で一番偉い人が指示を出す部屋。
一言で言えばそんな感じだった。
何十台ものモニターが、それぞれ別の画像を表示している。
この雑居ビルの向かいの通りや、駅前広場を映している物もあった。
そして誰かが通る毎に、レーダーと細かい文字が表示される。

幼なじみ『性別や年齢まで出てくるんだ・・・』
オカルト女『age30、age20、age70over、age15、age??・・・わりと大まかみたいですね』

だとしても、これは異常だ。
一体いくらかかったのだろうか。

ライバル『あ!アイツまた覗いてる・・・』
彼女『だから着替える時はカーテンを閉めようと・・・』

遅れて部屋に入ってきた《ライバル》さんと彼女が、モニターの一つを指差して言った。
アニメのキャラクターがプリントされたTシャツを着た男性が、双眼鏡を向けている。

幼なじみ『この人、いっつもだよね・・・』
ライバル『見るのはともかく、タダでっていうのが気に食わないわね』
彼女『金云々の問題ではないと思います』

あまりにもお腹が出ているので、キャラクターの顔が歪んでしまっている。
せっかくなので、上の階の道場で鍛えてあげるのはどうだろうか?

幼なじみ『ハァハァ言って喜びそうだから嫌』
彼女『3日どころか3分で逃げだしそうね』
オカルト女『あの・・・』
ライバル『どしたの?』



ライバル『アラート?いつから!?』
彼女『ええと・・・2時間前からですね』

モニターの一つが幾つかの点を映しており、画面には《ARART》の文字が点滅している。

ライバル『何やってるのよ!音量消したの誰?』
彼女『貴女です』
幼なじみ『・・・』
オカルト女『・・・』

そんなやり取りをしている間にも画面には《ARART》の赤い文字が点滅していた。

ライバル『そういえばそうだったわね・・・』

キーボードが操作されると同時に、モニターからけたたましいアラームが鳴り始めた。
再度操作され、音が消える。

幼なじみ『もしかして・・・』
オカルト女『例の連中ですか?』
彼女『間違い無さそうね』
ライバル『仕方ない・・・アレを使うわ』

話に全く付いていけない。
そしていきなり、彼女に腕を引っ張られた。

彼女『急いで!』
幼なじみ『ちょっと待って下さい!まさか・・・』
ライバル『その為に呼んだのよ』
オカルト女『そんな・・・!』



彼女『不覚だったわ・・・!』

陸上選手並みの速度で走る彼女。
それも、オレを背負ったまま。
通行人とぶつかりそうになるのをすんでの所で避け、例え赤信号だろうが速度を緩める事は一切しない。
ジェットコースターに乗ってるような感覚だ。

彼女『・・・ハッ!!』

身体が宙に浮き、直後にクラクションの音が浴びせられた。
数秒後に着地し、再び走り出す。
恐怖のあまり、途中から目を閉じているのでよく分からないが背負ったままの状態でジャンプしたという事だろうか?

彼女『着いたわよ!』

目を開ける。
地下駐車場のような所にいた。
そして目の前には戦闘機のようなマシン。
と、いう事は・・・

彼女『乗って。後は無線で指示するから』

やっぱり。



彼女『聞こえる?』

スピーカーから彼女の声。
マイクが何処にあるか分からないので、そのまま肯定の返事する。

彼女『サブモニターに触れて。軽く2回』

痛む頭を擦りながら、モニターを探す。
いきなり戦闘機に乗れ・・・という無茶苦茶な命令に対し、当然拒否するオレ。
次の瞬間、オレの身体は一昔前の格闘ゲームのように弧を描いていた。

彼女『男のクセに細かい事言ってるから、そうなるのよ』

コクピット内に投げ込まれ、シートに頭を打ち付けてしまう。
何とか態勢を立て直し脱出しようとするも、ハッチが自動的に閉まり囚われの身となってしまった。

彼女『貴方から見て左下の辺り』

見てみると、アームに取り付けられるような形で小型のモニターが確認できた。
左手で画面に2回触れてみる。
シュイーンとモニターが正面に移動し、何処かで聞いたようなBGMが流れた。
画面に《ようこそ》の文字と見覚えのあるロゴ。

彼女『何よ、何か文句ある?』

よりによってXPとは。
サポート期間、とっくに終了してますけど。

彼女『ネットに繋げなければ、問題無いわよ』

いや・・・まあ、そうだけどさ。
病院とかだと、未だに見るし。



それから数分後。

彼女『立ち上がったわね。《B five》ってアイコンをダブルクリックして』

3Dピンボールをやりたい気持ちを必死に抑え、ロボットの顔のようなアイコンを2回タッチする。
《しばらくお待ち下さい》と表示された後、コクピットの壁一面に周囲の風景が映し出された。

ライバル『大丈夫そう?』
彼女『はい。今の所は・・・』

右下の辺りに、4つのウインドウが表示される。
彼女、ライバル、幼なじみ、オカルト電波少女。
全員オレと同じようなコクピットにいるようだ。

ライバル『じゃあ、始めるわよ』

《ライバル》さんの言葉に、他の3人が頷く。
そして・・・

ライバル『レッツ・・・』
彼女&幼なじみ&オカルト女『『『バキンガー!!』』』



【第1話 出撃!バキンガーV】

彼女『気が付いた?』

スピーカー越しに彼女の声が聞こえた。
おそるおそる、目を開ける。

幼なじみ『・・・大丈夫?』

不安そうな表情の幼なじみ。
あの後・・・戦闘機が勝手に動き出し、オレは気絶してしまったらしい。
コクピット内部を見渡す。どうやら、嘔吐してはいないようだった。

ライバル『右上、見て』

言われた通り、右上の辺りを見てみる。
程なくして、ウインドウが表示された。

彼女『近くの監視カメラの映像よ』

地面が黄緑色と茶色に分かれており、近くには照明灯のような物が見える。
どうやら野球場にいるらしい。
それはそれはとして。

ライバル『私達が今乗ってるスーパーロボット、バキンガーV(ファイブ)よ』

ちょうどマウンドの辺りで仁王立ちする巨大な人型のロボット。
その存在が、映し出された光景を全くもって現実味の無い物に変えていた。
そして、正面には野球場の観客席らしき物が見える。
つまり、それに乗っているのは・・・

オカルト女『まもなく接近します』

オカルト電波少女の言葉に合わせるかのように、警報が鳴り始めた。
一体どうすれば。

ライバル『落ち着いて。こちらで用意した練習用のドローン(無人機)よ』

サブモニターが少し左に移動し、目の前に操縦桿が出てきた。
いや・・・動かし方、全然知らないし。

彼女『握ってみて?・・・ほら、覚えてるでしょう?』

言われてみればそうだ。
少し前、何故か彼女にゲームセンターに誘われた。
双子の妹では無いかと疑ったが、貞●ストラップを持っていなかったので間違いなく彼女だった。

彼女『基本的にはほとんど変わらないわ』

欲しいぬいぐるみでもあるのかな・・・と思ったが、連れていかれたのはガン●ムのコクピットを模した対戦ゲームだった。
そして、日が暮れるまで付き合わされた。
おかげで、夢の中でもシャ●専用●クが動き回っている始末だった。



彼女『着地して』

無人機を木っ端微塵に破壊(無人機以外も色々壊したような気がしたが忘れる事にした)し、指示された地点へ移動した。
すでに、ヘリや装甲車両が動き回っている。
そして、その中心にいるのは・・・

ライバル『撃っちゃダメ!』
幼なじみ『・・・仮に撃っても効かなそうだよね』

ダメージ10か。

彼女『彼は味方よ。どう見ても敵にしか見えないかもしれないけど』
??『そう・・・今は、な』

5つ目のウインドウが表示される。
そこに映っていたのは・・・

オカルト女『クキカワ、貴方は・・・』
クキカワ『久しいな。パイロットに選ばれたのは、やはりキミだったか』

思わせ振りな事を話す、神官(自称)クキカワ。
夢の国(パスポートが少し前に値上げした)で遭遇して以来だった。
クキカワの乗ってる機体・・・いや、機体かどうかも疑わしいレベルの物体を見てみる。

彼女『・・・マトモな機体は無かったの?』
クキカワ『この程度の連中、ヴォルクッキーで充分だろう』

ヴォルクッキーって名前なのか。
この機体というか、化け物は。

クキカワ『何を言う。これは教団の誇る・・・』
ライバル『教団が誇ってる時点でアウトでしょ』
幼なじみ『うん。っていうか、気持ち悪い!』

同感だ。
しかもさっきから、触手みたいなのがウネウネ動いてるし。

クキカワ『その内の何本かは伸ばす事もできるぞ・・・このように!』

触手らしき物が伸びていき、近くを飛んでいた無人機とヘリを同時に撃墜した。
ヘリ・・・明らかに人乗ってたよね?

クキカワ『人では無い。既に邪教徒だ』

邪念の塊みたいな機体(?)に乗っていて、よく言う。



クキカワ『貴様らBMSに組したと思われるのは恥辱の極みだが、今はやむを得ない。この星が滅んでしまっては布教どころでは無いからな。いつか来る教団繁栄の日の為、今は共に戦おうぞ!』
幼なじみ『・・・長過ぎ』

再三の説得の甲斐あって最終話近くでようやく仲間になったような台詞を第1話で言われても、いまいちピンと来ない。

彼女『続編って設定なのよ』
クキカワ『せっかく噛まずに言えたのに・・・』
ライバル『じゃあ、もう一回』
オカルト女『できれば、カンペを見ないで・・・』
クキカワ『やだ』

プイと横を向く、自称神官クキカワ。
それに合わせて、上の方でプカプカ浮いてるガイコツみたいな物体も横に向いた。

幼なじみ『あ、今のちょっと可愛い』
彼女『そもそも、《得ない》じゃなくて《得まい》でしょ?』
クキカワ『何っ・・・うわ、本当だ。しまったぁぁぁーーー!!』
ライバル『・・・ダッサ』



オカルト女『敵の全滅を確認しました』

そのほとんどが、自称神官クキカワのせいで集まってきたと思うのは気のせいだろうか。

彼女『経験値稼げたし良かったじゃないの』
幼なじみ『そうそう。エースボーナス獲っておけば、2周目から楽になるよ』

2回も繰り返したくない。
ライバル『少し先に分岐あるわよ?』
オカルト女『はい。図鑑も埋めないと・・・』

気が遠くなってきた。
達成率100%なんて目指したくない。
集まった敵を、周囲の建物や木々もろとも過剰なまでの火力で蹂躙する様はまさに虐殺と呼ぶに相応しい物だった。

幼なじみ『そこの変な人もお疲れ』
クキカワ『・・・』

近くでプカプカ浮いている、化け物だかモンスターだか分からない謎の物体。
周囲をクルクル回っているガイコツの口からビームが発射されたり、触手の先にある爪で切り裂いていく様はどう贔屓目に見ても味方のユニットが行う攻撃手段とは思えなかった。

幼なじみ『あれ、傷付いちゃった?』
クキカワ『ぐ・・・』

なんか、様子がヘンです・・・

オカルト女『クキカワ?』
クキカワ『おおおオオオ・・・!』
ライバル『まさか・・・』
彼女『いけない!離れて!!』



【第2話 邪神降臨】

幼なじみ『第2話のタイトルじゃないよね・・・』

うん、後半辺りならそれっぽいけど。

ライバル『そんな事言ってる場合じゃないわよ!』
クキカワ『コノウラミ・・・ハラサズニ・・・』
オカルト女『クキカワ!しっかりして下さい!!・・・警報?』

コクピットに警報が鳴り響く。
さっきの敵襲とは違う音だ。

彼女『まさか・・・こんな時に!』
幼なじみ『え・・・何?何なの?』
オカルト女『合体・・・強制解除されます!!』



ライバル『あっちゃー・・・最近整備してなかったから』

周囲を戦闘機が飛んでいる。
試しに動かしてみた。

幼なじみ『ちょっ・・・危ないって!』
オカルト女『主人公君、距離を保って!』

先程とは違う高速機動。
オレ自身も同じような機体に乗っているようだ。

ライバル『増援が来たわ!』

ヘリやら装甲車両に加え、人型ロボットの姿もある。
そして、少し離れた所には・・・

クキカワ『ワレコソガ・・・コノセカイヲ・・・』
幼なじみ『もー・・・そんなのに乗ってるから・・・』

どうやら、ヴォルクッキーとかいう化け物に精神を乗っ取られている様子だ。
とりあえず、撃墜して正気に・・・

彼女『敵のデータを確認して!』

カーソルを化け物(クキカワ搭乗)に合わせてみる。
《HP ?????》となっており、一切のデータが確認できない。

オカルト女『《偵察》使います』

再び確認してみる。

ライバル『ヒットポイント・・・80000!?』
幼なじみ『味方だった時は6500だったのに・・・』

まだステージ2だし、せいぜい20000くらいだと思っていた。
こちらのヒットポイントは2000~2500。
合体時の3分の1にも満たない。



彼女『とりあえず、雑魚を片付けるわ』
ライバル『クキカワとの戦闘は避けて!』
幼なじみ『りょ、了解です!』

とは言っても、こちらは戦闘機。
武装も機銃やミサイル程度しか無い。
いや・・・それだけでも、十分に物騒だけど。

オカルト女『主人公君、時間を稼いで』
ライバル『大体こういう時って、ターンが経過すればどうにかなるから』

一応動かせてはいるが、どうも感覚が掴めない。
味方機との激突を避けるだけで一杯だ。

彼女『Zガン●ムにも、あと10回位は乗せとくべきだったわ』
クキカワ『キサマモ・・・ツレテイク・・・』
幼なじみ『やー!近付いてきたー!!』

いつの間にかエネミーフェイズになってしまったようだ。
ヴォルクッキー(クキカワ搭乗)が5マス程動き、集まったヘリや装甲車両も移動したり攻撃を開始する。



彼女『見切ったわ!』
ライバル『惜しかったわね。出直してらっしゃい』
幼なじみ『いったぁ~・・・』
オカルト女『く・・・まだこの程度で!』

戦闘が始まって3ターンが経過した。
HP80000の化け物ヴォルクッキー(inクキカワ)から離れつつ、ザコを減らしていく。
いくら相手がザコといっても、こちらの耐久力も心もとない。
幼なじみとオカルト電波少女は、既に何発か食らってしまっていた。

彼女『落ちなさい!』
ライバル『もらったわ・・・そこねっ!』
幼なじみ『えっと・・・《信頼》!』
オカルト女『すみません、助かりました!』

人型ロボットに狙いを定める。
ロックオン表示を確認し、ありったけのミサイルを叩き込んだ。

彼女『よくやったわ』
ライバル『うん、今ので多少感覚は掴めたんじゃない?』

言われてみると、ついさっきよりも周りの状況がよく見える気がする。
レベルアップしたという事だろうか?

オカルト女『増援・・・来ます!』
幼なじみ『ウソ、こんな近くに?こうなったら自分に《信頼》・・・さっきので打ち切り!?』
彼女『まずいわ!』
ライバル『この位置からだと・・・!』

もはや万事休すか。



幼なじみ『え・・・爆発した?』

幼なじみを襲おうとしていた機体の1つが、いきなり爆散した。

??『お姉ちゃーん!』

突如乱入したガンメタリックの機体が次々と敵を撃ち抜いていく。
先程まで乗っていたスーパーロボット、バキンガーVを一回り小さくしたような人型の機体だった。
肩の部分だけ、ワンポイントで紅く染められている。

??『お姉ちゃーん、他の人達も大丈夫?見える・・・そこねっ!』
彼女『ムダの無い動き、正確無比な射撃・・・一体、誰なの?』
??『だからさっきから《お姉ちゃん》って言ってるでしょうが。ひょっとして、耳垢詰まってる?・・・ええーいっ!』

手に持ったライフルからビームが発射される。
最後の一体が爆散した。

彼女『台本通りにやってるだけよ』
幼なじみ『た、助かったぁ~』
オカルト女『残るは・・・』

そうだった。
まだ大ボスが健在だった。

クキカワ『ウ・・・ゴ・・・』
ライバル『妹ちゃん、《魂》か《熱血》持ってる?』
妹『そのうち覚える予定ですけど、今は《集中》だけですね。仮に使ったとしても、10000いかないと思いますよ?』
幼なじみ『ひょっとして・・・詰んだ?』

総攻撃を仕掛けたとしても、反撃で落とされそうだ。
仮に50%で撤退するとしても、4万は減らす必要がある。

妹『ああ、それは大丈夫。私が来た後に戦闘すれば、勝手に自滅するから』
彼女『貴方、《ひらめき》持ってたわね?』

いや・・・持ってるけどさ。
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