ばきメモ2、ばきメモスタジアム

蒼河『結局その次の年、肘やっちゃってそのまま引退したって訳』

話し終え、薄くなったアイスコーヒーを啜っている。

蒼河『何か聞きたい事ある?』

正直、幾つもの謎が生まれてしまった。
中でも気になるのは・・・

【選択肢】
⇒その先輩との関係
 その先輩が辞めた理由
 その先輩の手掛かりについて



【その先輩との関係】
その先輩との関係だ。

蒼河『ああ・・・念の為言っておくけど、そういう関係は一切無かったわよ?』

確か、食事行くのも禁止だったはずだ。

蒼河『一応アドレスは交換したけど、引退してすぐに音信不通。フォーム見てもらう時に手を握った位ね』

てっきり、その先輩とデキ婚したのかと思っていた。

蒼河『新聞に載ってた通り、一般人よ。野球部の同級生。私のボールにかすりもしない補欠の中の補欠』

つまり、その人と隠れて付き合っていたのだろうか。

蒼河『クラスも同じだったからそれなりには親しかったけど、そんな余裕無かったわね。プロ入りしてからは一切禁止だったし』

引退してから付き合い始めたという事だろうか?

蒼河『肘の結果が出た後、ヤケになって飲みまくってそれで。気が付いた時には・・・』

その人と・・・という訳か。

蒼河『そう。後で聞いた話では、思いっきり脚で(以下略)。あ・・・想像しちゃった?』

鞄を膝の上に置く。

蒼河『彼女さんにチクっちゃおうかな~?』

冗談抜きで勘弁して下さい。

蒼河『アハハ。可愛いね~。じゃあ、他には・・・あ』
??『ご無沙汰してます、監督』

聞き慣れた声がした。

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【その先輩が辞めた理由】
その先輩が辞めた理由についてだ。

蒼河『全然、分かんない。トレーナーの人に聞いてみても、何も知らなかったみたいだし』

怪我ではないという事だろうか。

蒼河『表向きには怪我って事になってるけど、多分別の理由ね。その少し前にデッドボールで乱闘騒ぎがあったんだけど、巻き込まれたような話も聞かないし』

ボールをあげた時の様子も変だったと思う。

蒼河『でしょう?知らないっていうのはあまりに不自然だよね。試合どころじゃなかったとしか思えないけど・・・』

その人、今は何をしているのだろうか。

蒼河『あまり良くない噂は耳にするけど・・・例えば、犯罪に関わっているんじゃないかとか』

それは嫌だな。

蒼河『うん。とにかくとっ捕まえて話を聞きたいわね』

確かに。

蒼河『まあ・・・その前に2、3発は殴るかも』

脳裏に彼女の顔が浮かんだ。

??『ご無沙汰してます、監督』

そして、幻聴まで聞こえた。

蒼河『いや、幻聴じゃないから』

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【その先輩の手掛かりについて】
その先輩の手掛かりについてだ。

蒼河『あ・・・それ聞いちゃう?』

ひょっとして、地雷踏んだ?

蒼河『・・・うん。旦那との夜の生活について聞かれた方がまだマシかも。まあでも、話せば楽になるかもしれないし』

オレは、蒼河さんの次の言葉を待った。
もちろん、夜の生活とやらにも興味が無い訳では無いけど。

蒼河『そっちはまた今度ね。野球博物館、行った事無い?都心の某ドーム球場にあるやつ』

あるのは知っているが、行った事は無かった。

蒼河『たまたま試合まで時間あったから行ってみたら、あったのよ・・・例のボールが』

《初勝利・初ヒット記念》って記してあるアレか。

蒼河『間違いなく、その時のだったわ。途中でインキが切れちゃたから、《ヒ》の文字が上から書き直してあるの』

今度、行ったら見てみよう。

蒼河『さすがにショックだったわ。私の野球人生その物が否定された気がして』

売った、という事だろうか。

蒼河『匿名の寄付だったみたい。これは野球の歴史にとって重要な物で安全な所に置いておくべきです・・・みたいなパソコン書きの手紙と一緒に』

とりあえず、その先輩の名前を教えてほしい。

蒼河『関節技で腕バキバキにするだけじゃ済まないけどね。えっと、名前はね・・・あ』
??『ご無沙汰してます、監督』

聞き慣れた声がした。

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蒼河『いや、まだ受けた訳じゃないし・・・つーか、みんな一緒?』
ライバル『はい』
幼なじみ『ヤッホー、主人公君♪』

彼女に幼なじみ、オカルト電波少女にライバルさんまでもがいた。
ヒロイン勢揃いだ。

彼女『妹も明日には帰国するわ』

妹がいたのか。

幼なじみ『うん。きっと驚くよ~』
彼女『・・・』

それはそうとして、取引先との接待は大丈夫なのだろうか?

ライバル『ああ、それなんだけどね・・・』
彼女『取引先の社長の奥さんが、会場に乗り込んできて・・・』
幼なじみ『連れてかれちゃった★』
オカルト女『どうやら不倫してたのがバレたらしくて・・・』

それはゲスの極みだな。

幼なじみ『でね、その奥さんっていうのがね・・・』
ライバル『何とかデラックスにそっくり』
彼女『言われてみればそうね・・・』
オカルト女『まさに神秘です』

神秘というよりは神罰じゃないだろうか?

幼なじみ『いや・・・あれじゃ不倫したくなるでしょ』
ライバル『一緒のベッドにいるとこ想像してみなよ、何とかデラックスの女バージョンよ?』

そういや男だったか。
どっちにしろ、恐怖しか感じない。

彼女『大丈夫よ、私はああはならないわ・・・』
幼なじみ『あー、抜けがけー!!』
オカルト女『本妻アピールですか・・・!』
ライバル『じゃあ、私は愛人で良いや』
蒼河『やっぱヤリ●ンだわ・・・』


彼女『と、そんな訳で来年からよろしくお願いします。蒼河監督』
蒼河『・・・今の話の何処に、私が受けたくなる要素があるのよ?男女関係で揉める予感しかしないわね』
ライバル『じゃあ曜日毎にする?』
オカルト女『そうですね・・・』
幼なじみ『仕方ないかー・・・。じゃあ、私は』
彼女『却下』

ヤバい。
ちょっと期待してしまった。

ライバル『・・・彼氏君、痛がってるよ?』
蒼河『仲のよろしい事で』
オカルト女『幸せそうですね』

いや、マジで痛いから。
腕つねり地獄から解放され、テーブルに突っ伏す。

彼女『蒼河さん、耳を貸していただけますか?』
幼なじみ『あ、もしかして蒼河さんも・・・』
蒼河『それこそどっかのタレントみたいに、二度とテレビに出られなくなるわよ』
ライバル『下手に誤魔化すべきじゃなかったわね・・・』
蒼河『そうね・・・え?何ですって!?』

突然、蒼河さんの口調が変わった。

オカルト女『電波でも受信しましたか?』
幼なじみ『・・・それはオカルトちゃんだけ』


蒼河『分かりました・・・監督の話、お受けします。女子野球の発展の為、共に頑張っていきましょう』
ライバル『実際には?』
蒼河『子供を学校に通わせるの、思っていた以上にお金が必要みたいで・・・』

特に私立ともなると、尚更だ。

幼なじみ『うわぁ・・・』
オカルト女『興醒めです・・・』
彼女『世俗的ですね・・・』
蒼河『ほっといて。下位だったから契約金だってそれ程でも無かったし、多少色付けて貰ってたとはいえ4ケタすれすれを行ったり来たり』

暴露話が始まってしまった。

蒼河『監督になれば野球界に復帰したってアピールできるし、そうすれば取材やトークショーの依頼とかも来て・・・』
彼女『球団を通して下さいね?』
蒼河『・・・何割?』
彼女『そうですね・・・』


蒼河『有り得ない!少な過ぎ!!』
彼女『球団に所属していただく以上は・・・』
蒼河『もう10%!旦那の収入だってたかがしれてるの!!』
幼なじみ『あーあ・・・』
オカルト女『困りましたね・・・』
ライバル『どうすんの?』

とりあえず、周りに人が来ないように・・・

??『やっぱりお姉ちゃんだ・・・最悪』
彼女『5%なら・・・』
蒼河『7、いや8%!』
彼女『せめて6で・・・あら、明日じゃなかったの?』
??『前の日の便が空いてたから変更してもらったの。あ、彼氏君だ。おっひさ~・・・』

現れた女性は、彼女と瓜二つだった。
服装こそ少し派手だが、顔立ちは完全に一緒。

彼女『双子の妹。ついでに言うと、貴方とも何回か会っているはずよ』
妹『コレの事?』

以前、一緒に見に行ったオカルト映画に出てくる髪の長い女のストラップだった。
ペアで前売り券を買うと貰えるらしい。

幼なじみ『先輩、そういうのダメだもんね。私もだけど・・・』
彼女『あんな恐ろしい物を作る人の気がしれないわ。もちろん、そんな物をわざわざ金払って見に行く人も』

つまり、あの日一緒に映画を見に行ったのは・・・

妹『わ・た・し。彼氏君なら気付くかもと思って、一応言い訳も考えていたんだけど・・・』
彼女『なら、今から聞こうかしら?』
ライバル『下手なオカルト映画より怖いわね・・・』
オカルト女『はい、とてつもない邪気を感じます・・・』

同感です。

彼女『・・・全員まとめて呪ってあげましょうか?』
幼なじみ『・・・怖っ。そもそも、身長体重その他諸々全て一緒なんですよね?』
妹『そうだよ。もちろんスリーサイズも・・・エイッ★』


妹『いったぁ~・・・。別に良いじゃん、シャツに●ラ越しだし』
彼女『ダメ!!』

もちろん妹だけでなく、オレまで殴られたのは言うまでもない。

幼なじみ『妹さん、大胆~』
オカルト女『主人公君の手を引っ張って、自分の胸に押し当てるなんて・・・』
ライバル『今度、試してみようかしら・・・』

鞄を膝に乗せ、必死に素数を数える。

蒼河『ほら、ヤリ●ン君反応しちゃったよ?』
妹『じゃあ責任を・・・』
彼女『取らなくてよろしい』
ライバル『なら、私と』
彼女『適当にその辺の男でも捕まえてて下さい』
オカルト女『共に、深遠の世界へ・・・』
彼女『一人で旅立ちなさい』

火花がバチバチと散っている。
こっそり逃げようとした所で、彼女とその妹に肩を押さえ付けられる。
さすが姉妹。

幼なじみ『そ・・・それにしても、よくこの店って分かりましたね?』
妹『若い女数人が金と男を巡って言い争いになってるって聞いたから、何処の店か教えてもらって』
彼女『・・・』
蒼河『・・・』
ライバル『若い?』

嬉しそうに眼を輝かせている人が、若干一名。

妹『とにかくお姉ちゃん、みっともない真似は止めて』
彼女『私は、球団の経営を・・・』
妹『蒼河さんのグッズ作れば、それ位元は取れるでしょ?試合後のサイン会も原則ファンクラブ会員限定にして・・・』
彼女『それもそうね・・・会費は?』
蒼河『・・・』

そっくりな二人のがめついやり取りに、周囲の人間は凍り付いている。

オカルト女『会長さんもそうですけど、妹さんも相当・・・』
ライバル『結局、中身は一緒って事かしら・・・』
幼なじみ『頑張ろうね、主人公君・・・』

とりあえず頑張ろう。
GM(兼雑用)として。

彼女『ユニに下敷き、ストラップに弁当・・・』
妹『声入りの目覚まし時計に抱き枕カバー・・・』



ユリ『と、まあ・・・大団円っぽく、無理矢理全員出してみた訳です。最後を締めくくるヒロインは』
なつき『蒼河唯早(あおかわいはや)・・・か』
ユリ『《ばきメモ》世界における、初の女子プロ野球選手という設定です』
なつき『なるほど・・・道理で名前があの人のアナグラムな訳か』
ユリ『マリンボールではなく、ばきばきボールです。打者のバットをばきばきにする、というのが由来で』
なつき『作品名に合わせた訳だな』

ユリ『ちなみに他の女の子達も、設定上の名前は考えてありますよ?』
なつき『ふーん・・・』
ユリ『反応薄いなぁ・・・胸はこんなに厚いのに』
なつき『ほっとけ』

ユリ『あと、続編も作ってるみたいです』
なつき『これ以上、何が続くんだ・・・』
ユリ『私は楽しみが続くから良いですけどね』
なつき『例えば?』
ユリ『番組(レンレン★カフェ)にゲストで出して、あんな事やこんな事を・・・』
なつき『・・・』

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