その他テキスト、28

『またのご利用をお待ちしております・・・』

相手からの通話が切れたのを確認し、こちらの通話も終了する。
あれから一ヶ月が過ぎた。

ウメダと名乗った女から伝えられたのは、こことは違うオフィスにあった金庫のパスワードだった。
その中に入っていた別のパスワードでさらに別の・・・みたいな事を数回繰り返し、結果として会社は私の物になった。

『・・・』

確かにあの男に連絡する度に、会社を譲れと言っていた。
半分は冗談のつもりだったが、業務のほとんどを取り仕切っていたのは私なのでいずれは・・・と考えていた。

でも、これは違う。
何か事情があって身を隠さなくてはならなくなったのか、それとも本当に身に覚えがあったのか分からないが望んだ結果ではない。
お互いビジネスパートナーとして利用しあうだけの関係であったのかもしれないが、話くらいはしたかった。
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