妹たち(澄谷)

瀬名『その娘なんだが、何処かイイトコのお嬢様じゃないかという話だ』
澄谷『お嬢様・・・か』

前に沙織と会った時の事を思い出す。
色々あったせいで変な気分になってしまい、これ以上は理性が持ちそうになかったので適当に理由を付け退散した。
連絡先は交換したので会う事はできそうなのだが、今の所メールのやり取りだけが続いている状況だ。

瀬名『本人の雰囲気もそうだが、それ以上に周りの態度が明らかに露骨だったらしい。少し前の大掃除、覚えているか?』
澄谷『ああ』

急な話だった。
学校の汚れは心の汚れだとか、いかにもこじつけのような話を校内放送で散々聞かされた挙げ句、明日の授業は全て中止して全校で大掃除をする事が決まってしまった。

瀬名『まあ、もちろんオレはサボったけどな』
澄谷『・・・』
瀬名『部活も中止だったから何人かでバッセン行ってたわ。サボっておいてアレだけど、大掃除したのってその転校生の為じゃないかと思う訳よ』
澄谷『さすがに・・・違うだろ』

いくら何でも大げさ過ぎると思う。
教師達、もしくはPTAの気まぐれではないだろうか。

瀬名『マサキ、分かってねーな・・・。薄汚い床を歩かせる訳にはいかないだろ。例えば・・・そうだな、あの娘みたいな美人に』
澄谷『え・・・?』

拓哉が顎で示した方を見てみる。
ウチの制服を着た女子生徒が佇んでいた。

瀬名『ん?よく見たら凄い上玉だな・・・。Sランクは堅いだろ。ほら、マサキも見てみろよ』
澄谷『いや、オレは・・・あ!?』

《彼女》と目が会った。
嬉しそうに顔を綻ばせる。
そして、オレに言った。


沙織『おはようございます、マサキ君!』
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