妹たち(澄谷)

それから二週間程したある日の事だった。

??『オーッス!』
澄谷『おう、拓哉』
瀬名『なあマサキ、聞いたか?』
澄谷『何を?』

野球部の同級生、瀬名拓哉(せなたくや)。
今朝はいつも以上にハイテンションだ。

瀬名『今日、転校生が来るらしいぜ』
澄谷『・・・そうか』
瀬名『それがさぁ、もんの凄い美人らしいぜ。お近づきになりてぇなあ・・・』
澄谷『・・・』

このパターンは以前にも記憶がある。
確か、オレ達が入部した頃の話だった。

瀬名『ウチのクラスの奴が、何日か前に職員室で違う制服の女の子を見たっていうんだけど』
澄谷『・・・どストライクだったと』

入部希望者に女子がいる。
それもかなりの美人だと。
当時、同じクラスだった拓哉は案の定、入部希望者の女子・・・城咲円にちょっかいを出す。

瀬名『まあ、オレが会った訳じゃないけどな。マサキは楽しみじゃないのか?』
澄谷『いや、別に』

もちろん円には冷たくあしらわれ、
こうなったら実力の差を見せてやる!⇒な、何故だ!?何故打たれる!⇒くそ、もう一回だ!⇒以降繰り返し
というような流れで、今に至る訳だ。

瀬名『聞いて驚け。どうやらその娘、SSランクらしい』
澄谷『・・・何だ、その保険会社の格付けみたいな物は』
瀬名『アイツがSランク以上を付けるのは相当な事だ・・・分かるかマサキ、この意味が?』
澄谷『全く分からん。ちなみに円は?』
瀬名『何と何と、Aマイナスらしい。まさかの高評価にビックリだ』
澄谷『・・・』

高評価は高評価なのだろうが、《マイナス》が付いてる時点で失礼極まりない。
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