妹たち(澄谷)

ユリ『はい、到着』
??『・・・』

突き当たりの扉を開けて中に入る。
中には畳が敷かれていた。

澄谷『・・・ここは?』
ユリ『道場』

言われて、辺りを見渡す。
【柔よく剛を制す】みたいな事が書かれている額や、神棚が飾られているのが見える。

??『・・・時々、他の道場から先生が来て教えてくれる』
ユリ『お姉ちゃん、センスがあるって誉められてたよ。えいっ、たあっ、そりゃー』

置いてあった竹刀を手に取り、振り回している。
型通りというよりは、チャンバラごっこのそれに近い。

ユリ『だから、夫婦喧嘩の時は気を付けてね。お姉ちゃん、見た目は・・・あ』
??『わ・・・』

ユリの手から竹刀がスッポ抜けた。
そして・・・

澄谷『危な・・・え?』
??『・・・ユリ、ダメだって言ってるでしょう?』
ユリ『お、お姉ちゃん・・・うわっ!』

飛んできた竹刀を片手で難なくキャッチし、そのまま妹に詰め寄る。
2、3回素振りをしたが、先程のユリのとは違い動きに全く無駄が無い。

??『・・・』
ユリ『えっと・・・その・・・マサキお兄ちゃんが・・・』
澄谷『オ、オレ?』
沙織『そうですよ、マサキ君も何やってるんですか!せっかく急いで済ませたのに・・・』

竹刀を構え、にじり寄ってくる。
一体どうしてこうなったのだろう。

澄谷『えっと・・・その・・・』
沙織『マサキ君?大人しく・・・』
ユリ『マサキお兄ちゃん!ここはユリに任せて早く逃げて!!』
澄谷『逃げるって・・・どこへ?』

恐ろしい女剣士からオレを庇おうとする、女剣士の妹。
だが、あまりに頼りない。

ユリ『お姉ちゃん、覚悟・・・あれっ!?』
??『あ・・・』

二本目の竹刀もあっさり弾かれる。

ユリ『ごめん・・・もうユリにはどうにもできないよ。そ、それじゃあねっ』
澄谷『あ、ちょっと・・・』
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