妹たち(澄谷)

澄谷『・・・』

冷たい烏龍茶を飲み、一息付く。
オレは一人、先日沙織の両親と対面した応接間にいた。
今日は英里耶さんだけでなく、父親の孝造さんも不在らしい。

澄谷『?』

突然、ドアがノックされた。
周りを見渡したが、今はオレ一人しかない。
どうしようか考えていると、再度ノックの音が聞こえた。

澄谷『はい、どうぞ・・・』

迷ったが、とりあえずそう答えた。
沙織が来たのだろうか。
ドアが静かに開かれる。

??『こんにちはー』
澄谷『あ、えっと・・・こんにちは』

部屋に入ってきたのは沙織ではなく、小学生位の女の子だった。
利発そうな目でこちらを見据えてくる。

??『ねえねえ、お兄ちゃんがお姉ちゃんのカレシさん?』
澄谷『え・・・』

いきなりストレートに聞かれ、どう答えようか迷う。
少し年が離れ過ぎているような気がするが、沙織の妹だろうか?

??『違うの?』
澄谷『いや・・・そうだよ』

思わずそう答えてしまった。

??『良かった~、チャラそうな人じゃなくて。お姉ちゃん変な男に騙され易そうなんだもん』
澄谷『そうなんだ・・・』
??『そうそう、私は三国由利(みくにゆり)。ユリって呼んでね』
澄谷『・・・澄谷正己です』
ユリ『じゃあ、これからはマサキお兄ちゃんって呼ぶね』

嬉しそうに手を握ってくる。
仕草の一つ一つに育ちの良さを感じさせる所は、さすが姉妹だと感じさせた。

??『・・・』
ユリ『ねえ、いつまでそうしてるの?こっち来てマサキお兄ちゃんに挨拶しないと』
??『う、うん・・・』

もう一人、同じく小学生くらいの女の子が入口の陰からこちらを見ていた。
歳はあまり変わらなさそうだが、ユリと違って少し緊張している。
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