妹たち(澄谷)

澄谷『・・・』

携帯電話の画面を見てみる。
当然、無い。
当たり前だ。
聞いていないのだから。

瀬名『マサキ、どうした?携帯とにらめっこなんかして』
澄谷『いや・・・大丈夫だ』

豪邸に行ったあの日から数日が経った。
空き部屋がどうのというやり取りの後、英里耶さんが『大丈夫よ、何か必要な物があったら二神に買いに行かせるわ』と言って『そうね、薄い方が・・・』と続けた所で、再び孝造さんがお茶を吹き自分でテーブルを拭いていた。

澄谷『・・・』

結局、まずは友人として付き合う事となった。
しかし、会うにも連絡のしようがない。
携帯電話を閉じ、今度は生徒手帳を開く。
余白のページに《三国沙織》と綺麗な文字で書いてある。

城咲『手帳がどうかしたの?』
澄谷『何でもない・・・』

慌てて手帳を閉じる。
書いてあるのは名前だけで、横に電話番号が記載している訳でもない。

澄谷『・・・』

手帳を入れる為に、鞄を開ける。
クリアファイルに小さな紙が入っているのを見つけた。
先日貰った名刺だった。
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