妹たち(澄谷)

孝造『では澄谷君。先日はウチの沙織が世話になったそうで、まずは御礼を言わせてくれ』

四人集まった所で、改めて話が再開した。
オレの隣に座った沙織は、公園で会った時の白いワンピースに茶色のカーディガンを羽織っている。

澄谷『いえ、そんな・・・』
英里耶『謙遜しなくても良いのよ?ほら、沙織も』
沙織『はい。澄谷さん、先日はありがとうございました』

ソファーから立ち上がり、丁寧に頭を下げてくる。
育ちの良さを感じさせる仕種に、思わず見入ってしまう。

澄谷『あ・・・どういたしまして』

あの日、特に何かをしたという記憶は無い。
強いて言うなら、飲みかけの紅茶を貰った位だ。
しかもその場合、御礼を言うのはオレの方だろう。

孝造『じゃあ、そろそろ・・・』

お手伝いさんに目で合図する。
一礼し、部屋を出て行った。

英里耶『沙織・・・』
沙織『はい・・・』
孝造『・・・』

三人が小さく頷く。
それから話が始まった。

孝造『今日、わざわざ澄谷君にウチに来てもらったのは沙織の事なんだ』
沙織『・・・』

そして、彼から告げられた言葉は理解の範疇を遥かに超えていた。

孝造『率直に言おう。沙織と結婚を前提に付き合ってみないか?』
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