妹たち(澄谷)

瀬名『じゃーな、マサキ』
マネ『また明日ね~』
城咲『お疲れ』
澄谷『ああ、お疲れ』

部活が終わり、途中まで皆と帰った。
ここからは、自分一人となる。

澄谷『・・・』

一人になって、オレは前に公園で出会った女の子の事を考えていた。
あれから彼女とは一度も会っていない。
分かっている事といえば、生徒手帳の空きページに書かれた『沙織』という名前だけだった。

聖先輩のアドバイス通り、次の日からは気持ち良く練習できるようになったような気がする。
部活が忙しい事もあり、あれから公園には一度も行っていない。
今度、余裕ができたら行ってみよう。
そんな事を考えていた、その時だった。

??『失礼します。澄谷正己様ですね?』

突然、名前を呼ばれた。
振り返ってみると、漆黒のスーツに身を包んだ男性がこちらを見ていた。
見覚えの無い顔だ。

澄谷『・・・はい、そうですけど』
??『澄谷様、まずは突然引き留めた非礼をお詫び致します』

男性は一度頭を下げ、再びこちらを見つめてきた。
サングラスの奥に見える瞳からは、何の感情も読み取れない。

??『改めて確認させて頂きますが、聖タチバナ学園の澄谷正己様で間違いないですね?』
澄谷『・・・はい』
??『・・・自己紹介が遅れました。私は三国家で執事をしてます、二神昭仁(ふたかみあきひと)と申します』

執事というよりは、SPに見えた。
背が高く、立ち振る舞いにも隙が無い。

二神『どうぞ』
澄谷『・・・』

二神と名乗った男は、懐から一枚の名刺を差し出してきた。
何か高級な和紙の様なものだろうか、独特の手触りだった。
名刺には『三国グループ 二神昭仁』と印刷されており、電話番号が幾つか載っている。

二神『澄谷様、宜しければこれから御足労願えませんでしょうか?』
澄谷『これから、ですか?』
二神『御都合がつかないのであれば後日、一番右側の番号に御連絡をお願いします。勿論、電話料金はお支払い致します』
澄谷『・・・』
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