ある夏の記憶(澄谷)

城咲『5・・・4・・・』
澄谷『・・・』

自分の肩に、拓哉の腕を乗せたままカウントダウンをしている。
オレは三人分の鞄を持って、その光景を眺めていた。

城咲『3・・・2・・・1・・・ゼ』
瀬名『うわあっ!タ、タンマッ!!』

テコの原理で腕が引っ張られる。
両足が地面から離れようとした所で、拓哉が復活した。

城咲『チッ・・・』
澄谷『危機一髪だったな』

仕方なく、離す。
拓哉に鞄を返してやる。

瀬名『助けろや・・・』
澄谷『鞄、持ってたから』
城咲『残念。サオリン直伝の技、お見舞いしたかったのに・・・』

円の鞄も返す。
あのまま拓哉が復活しなかったら、どうなっていたのだろうか。
後で聞いてみよう。

城咲『行くわよ』
瀬名『へいへい』
城咲『ほら、マサキも』
澄谷『・・・ああ』

そしてオレ達は、公園を後にした。
しばらくは来る事も無いだろう。

冬という事もあり、風が少し冷たかった。
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