ある夏の記憶(澄谷)
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Wataru Kurihashi
公園で会いましょう
いつの間にか空が薄暗くなっていた。
船に巻かれている電飾が光っている。
澄谷『・・・』
今年、オレは活躍できたと自分でも思う。
それが『5年目』なのは偶然だろう。
たまに、『どうして野球をやっているのか』と聞かれる事がある。
そんな時、決まってオレは『野球が好きだから』と答える。
少なくとも、あの日まではそうだった。
澄谷『・・・』
今日、何となくここに来てしまった。
特に理由があった訳ではなく、あの日みたいに自分を見つめ直したかった訳でもない。
『まもなく、出港します。ご利用のお客様は・・・』
水上バスの出発時刻を告げるアナウンスが聞こえてきた。
あれから、一度だけ『彼女』と乗った。
ベンチの右端を見てみる。
当然だが、誰もいない。
何回か、待ち合わせにも使った。
オレはいつも5分前位だったが、『彼女』はいつも先に来ていた。
そして、オレの顔を見て『彼女』はいつもこう言った。
??『やらないか』
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