野球の島(夢小説)

ユリ『い、いきなり壁ドン!?』

そして2学期が始まってすぐ。
私はユリを、人気の無いところに呼び出していた。

真理『・・・』
ユリ『も、もしかして制服早く欲しいとか?今日は荷物多いから明日持ってくるつもりだったけど、今夜必要なら放課後に・・・』
真理『それはいつでもいい。じゃなくて、写真見せて』
ユリ『私の?水着だと、確かミカちゃんに撮ってもらったのが・・・アタッ!』

ツッコミを入れる代わりにデコピンを喰らわす。

ユリ『うう・・・。現物は持ってきてないけど・・・はい』

スマホの画面に表示された、例の4枚の写真。
おそらく少し前に撮った物と思われるが、間違いない。

真理『この人が、本命?』
ユリ『えっと・・・まあ、探してるのは間違いないんだけど』

人の良さそうな60歳くらいの女性の写真を指差す。
この人ではなく、他に本命がいたらしい。
そして、その人物は・・・

真理『この人・・・でしょ、探してたの』

帰りのフェリーでの話だ。
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サングラスの女性と身の上話をする。
彼女は昔、野球部のマネージャーをやっていたらしい。

??『その人とは、お付き合いされないのですか?』
真理『えっと・・・』

ドリンクの味がイマイチだったが、試しに“ある行程”を追加したら格段に美味しくなった。
一緒にマネージャーをやっていた女の子がいて、内緒で後輩と付き合い始めたが私と当時一人いた女子部員にはこっそりと教えてくれた。
バッティングセンターに行ったら結構打てたので、無理を言って紅白戦に代打で・・・etc。

そのうちに何となく会話が続かなくなり、客室に戻ろうとした。
念の為、もう一度透に釘を刺しておいた方が良いだろうか。
そんな事を考えていた私は、デッキから室内に入ろうとした所で向こうから来た女性とぶつかりそうになってしまった。

真理『あ・・・すみません』
??『いえ・・・失礼』

最小限の動きで衝突を回避し、去っていった。
動きもそうだが、何となく何処かで見た覚えがある。

真理『・・・あ!』

思い出した。
確か、数日前に・・・
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ユリ『凄い凄い!夫婦揃って探偵の才能アリアリだよ!!』
真理『分かったからもう少し離れて・・・』

ユリを引き離す。
ちなみに、例の《ドラフ島》について検索してみたが、何故だか一件もヒットしなかった。

ユリ『真理ちゃん冷た~い・・・』
真理『で、透がどうしたの?』
ユリ『あ、夫婦だって認めたね♪・・・アダッ!』
真理『・・・この人、誰なの?』

写真を見る限りは20代後半くらいだろうか。
短く切り揃えられた髪に、意志の強そうな瞳。
キャリアウーマンといった表現が相応しい。

ユリ『うう・・・空手チョップは酷いよ~』
真理『まさかこの人が富永さんってオチじゃないでしょうね?』
ユリ『この人は四ツ倉(よつくら)さん。富永さんと同じく、前にウチにいた人』
真理『格闘技か何かやってる?』
ユリ『そうだね。ボディーガードも兼ねてたから』

さらっと凄い事を言う。

真理『・・・もしかして、家に道場とかあったりするの?』
ユリ『うん。もっとも今は物置になっちゃってるけど』

あるにはあるらしい。

ユリ『真理ちゃんがコスプレ写真撮りたいって言うなら、すぐに用意するよ?』
真理『別にいい・・・って、どこ行くの?』
ユリ『解析のやり直し。全部済んだら、ちゃんとした御礼するから』
真理『制服(コスプレ用)じゃなくて?』
ユリ『もちろん。じゃあ、透君と仲良くね~』

そう言い残して、小走りで去っていった。
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