野球の島(夢小説)

??『あの・・・お邪魔しちゃって本当にごめんなさい!』
透『い、いえ・・・』

深々と頭を下げる。
公園の入口にいたのは、長い髪を青いリボンで結んだ女性だった。

??『声をかけようかどうか迷ったんですけど、邪魔しちゃ悪いかなって・・・』
透『・・・』
??『でもここで機会を逃したらもう誰にも会えなさそうだったので、とりあえずその・・・営みが終わるまで待ってようと思って』
真理『い、営みって・・・その・・・そんなんじゃないですから!』

こうも真っ向から否定されると、さすがに悲しくなる。
そして目の前の女性は《営み》とやらの一部始終を見るつもりだったのだろうか?

??『あれ、そうなんですか?私、てっきり・・・』
真理『違います』
透『・・・』

身体が寒くなってきたのは、長時間外にいた為だけではないだろう。
青いリボンの女性は突然腕組みをし、考え込んでしまった。
そして何かを閃いたようにポンと手を叩き、オレの手を取ってこう言った。

??『頑張って下さいねっ!』
透『・・・』
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真理『・・・それで、こんな時間にこんな所で一体どうしたんですか?』

棘のある話し方の真理。
苛立っているのは明白だ。

??『あ・・・実はですね・・・』

要約はこうだ。

お墓参りに行った帰り、道に迷う。
途中、何回かすれ違う人に道を聞いたが結局迷ってしまった。
ホテルに帰りたい。
でも帰れない。
誰か助けて。

以上、要約終わり。

??『グスン・・・みんな私の方向音痴をバカにするんですよ・・・』
真理『・・・』

年は監督と同じ位・・・いや、もっと下だろうか。
泣きじゃくっている彼女は、実際の年齢以上に幼く見えた。
実際の年齢、知らないけど。
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透『はぁ・・・』

久々に溜め息。
一人になった公園が、とても広く感じた。

透『帰るか・・・』

これ以上ここにいる理由は無いので立ち上がる。
両手に持ったコンビニ袋が、とても重く感じられた。

透『はぁ・・・』

話を聞いてみると、青いリボンの女性の泊まっているホテルは真理のホテルと同じ所らしい。
一人で帰ると絶対に迷うらしく、結局真理が送っていく事になった。

透『・・・』

親切な人に地図を書いてもらったにも関わらず(しかも目印や距離等、とても分かり易く書いてあった)迷ってしまったらしい。
相当な方向音痴なのだろう。

??『あの、すみません・・・ちょっと良いですか?』

ホテルに入ろうとしたその時、黄色いブラウス姿の女性に声を掛けられた。
歳は監督と同じ位だろうか。
あちこち動き回っていたからか、少し汗ばんでいる。

透『・・・何か?』
??『実は、人を探してるんです。特徴は・・・』

青いリボンに長い髪。
そして方向音痴。
覚えがありまくりだった。
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??『無事、見つかったみたいです。あ、それは大丈夫です。同じホテルに泊まっている方が一緒に付いてくれているみたいで・・・』
透『・・・』

女性が誰かに電話している。
何人かで手分けして探していたのだろうか?

??『はい、アイミさんもお疲れ様でした・・・』

そう言って通話を終えた。
電話の相手はアイミという名前らしい。

??『ふう・・・全く余計な仕事増やしてくれるわね・・・』

スマホを鞄に仕舞い、溜め息を付いた。
例の女性が迷子になったせいで何人かで人探しをする羽目になった、という所だろうか。

透『あの・・・』
??『あ、ごめんなさい。本当に助かったわ。感謝します』

そう言って女性は頭を下げた。
買い出しに出てから結構な時間が経過している。

透『じゃあオレはこれで・・・』
??『うん。・・・ところでキミって、恋恋高校?』
透『あ、はい・・・』
??『じゃあ、先パ・・・監督は元気?』

藤乃なつき監督は元プロという事もあり、わりと有名だ。
他の高校に進学した、かつてのチームメイトからサインを頼まれた事も何度かあった。

透『ええ・・・まあ』
??『そう。でも、今日は暑かったから少し参ってるんじゃないかな?あの人、暑いの苦手だし』

・・・図星だ。
彼女は監督の知り合いだろうか?
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