野球の島(夢小説)
海とあなたの物語
見渡す限り、海だった。
そして、空は青かった。
そんな砂浜でオレは一人、体育座りしていた。
なぜこうなったかと言うと・・・あまり話したくない。
??『大丈夫、透君?』
透『あ、キャプテン』
隣に座ったのは、三国由利(みくにゆり)先輩。
オレよりも一年先輩で、先月からキャプテンを務めている。
選手としては唯一の女子部員でありながら、その辺の男子部員よりも実力は高く、果敢な守備でチームの窮地を救う事も多い。
また打撃に関しても、前回の夏の大会で3打席連続ホームランを放ち話題になった。
透『その・・・すみませんでした。この前の試合・・・』
ユリ『え・・・?ああ、あれは私が打てなかったのが悪いんだし・・・』
マネージャーの仕事を手伝ったり部員の相談に乗ったりする等、性格に関しても非の打ち所は無い。
次期キャプテンはユリ先輩以外、考えられなかった。
ユリ『で、大丈夫?』
透『な、何がです?』
ユリ『ちょっと大胆過ぎるよねー、先生の水着』
・・・見破られていた。
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次へ
オレの名前は、矢島透。
恋恋高校の一年で、野球部に所属している。
オレ達恋恋野球部は、夏の合宿に来ていた。
最後の2日間は海で遊ぶ事になっており、こうして皆で来ている。
なぜ2日間も遊べるのか疑問だったが、ここに来てその答えが分かった。
水は透き通っており、砂浜にはゴミ一つ落ちていない。
海外旅行のポスターで見たような風景が広がっていた。
そんな場所なのに、オレ達の他に人はいなかった。
ユリ『別にクラゲとか出たりしないし、砂に怪しい成分とかも混ざってないから大丈夫だよ』
危ない所ではないかと疑ったが、キャプテンの一言でとりあえず納得した。
こんな素晴らしい海があるのに、遊ぶのが一日では勿体ないという事だ。
ユリ『じゃあ私も着替えてくるね。あ、ポールより先には行かないでね』
キャプテンも着替えに戻ってしまった。
それを見届けて、海へ向かって歩き出す。
??『まあ待て、透』
透『行かないの、海?』
コイツは延岡宗太郎(のべおかそうたろう)。
オレと同じ一年の野球部員だ。
あかつきや帝王からスカウトが来る、それなりに有名な選手だったが恋恋に入学。
理由はというと・・・
延岡『オレ、早川あおいの熱狂的ファンだから。もしかしたら、会えるかもしれないじゃん』
との事だった。
さらに・・・
延岡『まず帝王はパス。あそこ男子校だから』
透『・・・』
男子校という時点で、始めから選択肢にも入ってないらしい。
何て欲望に忠実な人なのだろう。
延岡『あかつきの場合、問題はマネージャーだ』
透『マネージャー?』
延岡『中学の時に見学行ったんだけど、案内してくれたマネージャーの女が何か凄くお堅い感じだったんだよね』
透『それ以外はいなかったの?』
延岡『練習見学するフリしてマネージャーを観察してたんだけど、似たようなのばっかだったな』
透『・・・』
延岡『マネージャーっていうのは、アレだ。特製ドリンクを振る舞ったり、心を篭めたお手製のお守りを一人一人に渡したり』
熱弁が始まった。
延岡『まあ、要は青春そのものなんだ』
透『青春・・・』
延岡『そしてな、卒業して何年か経ったとき《あなた、私のお守りまだ持っててくれたんだ。嬉しい!》って感じで思い出を語り合うんだよ』
透『・・・』
駄目だコイツ。
早く何とかしないと。
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延岡『ところがだ!オレが聞いた所によるとお守りもあるにはあるんだが、どこか有名な所から取り寄せるらしいんだよ』
スポーツの神様か何かだろうか。
オレにも一つ欲しい。
延岡『そして、ドリンクについても聞いてみた。何と、専門の業者が作っているらしい・・・』
カスタマイズされた特製品か。
機会があれば一度飲んでみたいものだ。
延岡『否、否、否!断じて否っ!!いいか、透!お守りっていうのはなぁ、言わば愛の固まりなんだよ!ドリンクについても同じだ、愛のエキスなんだよ!!』
どうにも止まらない。
周りからの視線が痛くなってきた。
延岡『だから私は此の地へ一人、真実の愛を求めて降り立った』
透『・・・』
無理矢理いい話にしようとしている。
実際の所は、実家から通えるのも理由の一つだろう。
延岡『・・・この哀れな子羊を白い羽根で優しく包んでくれる天使、未だ現れず』
コイツの頭の中は、相当哀れな事になってるに違いない。
ここまでの流れで分かる通りいわゆる変態なのだが、野球に関してだけは実力がありアドバイスも的確で先輩達からも一目置かれている。
透『・・・で、それと海に入らない事がどう関係してる?』
延岡『早まるでない、若者よ。今、ワシとお主が身に付けているものはなんじゃ?』
妙な口調のまま、延岡はオレに問い掛けた。
透『水着だな』
延岡『うむ。そして、今まさに愛しの姫君達が身に付けようとしている物は?』
透『水着だろ・・・あ』
延岡の考えてる事が分かってしまった。
周りでオレ達のやり取りを聞いていた部員達も納得したような表情をしている。
『お待たせー』
そしてタイミング良く、マネージャーの声が聞こえた。
女子達が水着に着替えてきたようだ。
皆が一斉に振り向く。
海で遊んでいた連中も、一旦戻ってきた。
ユリ『似合ってるかな?』
彼女達はそれぞれ、様々なタイプの水着を身に付けていた。
そして、どれも似合っていた。
キャプテンはおとなしめのワンピース、マネージャー達はパレオ付きのワンピースやビキニ、セパレートと各自に合わせていた。
ユリ『ほら、先生も』
なつき『い、いや・・・やっぱり』
そして問題はその直後に発生した。
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見渡す限り、海だった。
そして、空は青かった。
そんな砂浜でオレは一人、体育座りしていた。
なぜこうなったかと言うと・・・あまり話したくない。
??『大丈夫、透君?』
透『あ、キャプテン』
隣に座ったのは、三国由利(みくにゆり)先輩。
オレよりも一年先輩で、先月からキャプテンを務めている。
選手としては唯一の女子部員でありながら、その辺の男子部員よりも実力は高く、果敢な守備でチームの窮地を救う事も多い。
また打撃に関しても、前回の夏の大会で3打席連続ホームランを放ち話題になった。
透『その・・・すみませんでした。この前の試合・・・』
ユリ『え・・・?ああ、あれは私が打てなかったのが悪いんだし・・・』
マネージャーの仕事を手伝ったり部員の相談に乗ったりする等、性格に関しても非の打ち所は無い。
次期キャプテンはユリ先輩以外、考えられなかった。
ユリ『で、大丈夫?』
透『な、何がです?』
ユリ『ちょっと大胆過ぎるよねー、先生の水着』
・・・見破られていた。
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オレの名前は、矢島透。
恋恋高校の一年で、野球部に所属している。
オレ達恋恋野球部は、夏の合宿に来ていた。
最後の2日間は海で遊ぶ事になっており、こうして皆で来ている。
なぜ2日間も遊べるのか疑問だったが、ここに来てその答えが分かった。
水は透き通っており、砂浜にはゴミ一つ落ちていない。
海外旅行のポスターで見たような風景が広がっていた。
そんな場所なのに、オレ達の他に人はいなかった。
ユリ『別にクラゲとか出たりしないし、砂に怪しい成分とかも混ざってないから大丈夫だよ』
危ない所ではないかと疑ったが、キャプテンの一言でとりあえず納得した。
こんな素晴らしい海があるのに、遊ぶのが一日では勿体ないという事だ。
ユリ『じゃあ私も着替えてくるね。あ、ポールより先には行かないでね』
キャプテンも着替えに戻ってしまった。
それを見届けて、海へ向かって歩き出す。
??『まあ待て、透』
透『行かないの、海?』
コイツは延岡宗太郎(のべおかそうたろう)。
オレと同じ一年の野球部員だ。
あかつきや帝王からスカウトが来る、それなりに有名な選手だったが恋恋に入学。
理由はというと・・・
延岡『オレ、早川あおいの熱狂的ファンだから。もしかしたら、会えるかもしれないじゃん』
との事だった。
さらに・・・
延岡『まず帝王はパス。あそこ男子校だから』
透『・・・』
男子校という時点で、始めから選択肢にも入ってないらしい。
何て欲望に忠実な人なのだろう。
延岡『あかつきの場合、問題はマネージャーだ』
透『マネージャー?』
延岡『中学の時に見学行ったんだけど、案内してくれたマネージャーの女が何か凄くお堅い感じだったんだよね』
透『それ以外はいなかったの?』
延岡『練習見学するフリしてマネージャーを観察してたんだけど、似たようなのばっかだったな』
透『・・・』
延岡『マネージャーっていうのは、アレだ。特製ドリンクを振る舞ったり、心を篭めたお手製のお守りを一人一人に渡したり』
熱弁が始まった。
延岡『まあ、要は青春そのものなんだ』
透『青春・・・』
延岡『そしてな、卒業して何年か経ったとき《あなた、私のお守りまだ持っててくれたんだ。嬉しい!》って感じで思い出を語り合うんだよ』
透『・・・』
駄目だコイツ。
早く何とかしないと。
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延岡『ところがだ!オレが聞いた所によるとお守りもあるにはあるんだが、どこか有名な所から取り寄せるらしいんだよ』
スポーツの神様か何かだろうか。
オレにも一つ欲しい。
延岡『そして、ドリンクについても聞いてみた。何と、専門の業者が作っているらしい・・・』
カスタマイズされた特製品か。
機会があれば一度飲んでみたいものだ。
延岡『否、否、否!断じて否っ!!いいか、透!お守りっていうのはなぁ、言わば愛の固まりなんだよ!ドリンクについても同じだ、愛のエキスなんだよ!!』
どうにも止まらない。
周りからの視線が痛くなってきた。
延岡『だから私は此の地へ一人、真実の愛を求めて降り立った』
透『・・・』
無理矢理いい話にしようとしている。
実際の所は、実家から通えるのも理由の一つだろう。
延岡『・・・この哀れな子羊を白い羽根で優しく包んでくれる天使、未だ現れず』
コイツの頭の中は、相当哀れな事になってるに違いない。
ここまでの流れで分かる通りいわゆる変態なのだが、野球に関してだけは実力がありアドバイスも的確で先輩達からも一目置かれている。
透『・・・で、それと海に入らない事がどう関係してる?』
延岡『早まるでない、若者よ。今、ワシとお主が身に付けているものはなんじゃ?』
妙な口調のまま、延岡はオレに問い掛けた。
透『水着だな』
延岡『うむ。そして、今まさに愛しの姫君達が身に付けようとしている物は?』
透『水着だろ・・・あ』
延岡の考えてる事が分かってしまった。
周りでオレ達のやり取りを聞いていた部員達も納得したような表情をしている。
『お待たせー』
そしてタイミング良く、マネージャーの声が聞こえた。
女子達が水着に着替えてきたようだ。
皆が一斉に振り向く。
海で遊んでいた連中も、一旦戻ってきた。
ユリ『似合ってるかな?』
彼女達はそれぞれ、様々なタイプの水着を身に付けていた。
そして、どれも似合っていた。
キャプテンはおとなしめのワンピース、マネージャー達はパレオ付きのワンピースやビキニ、セパレートと各自に合わせていた。
ユリ『ほら、先生も』
なつき『い、いや・・・やっぱり』
そして問題はその直後に発生した。
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