マサキとユリ(栗橋)

瀬名『お、これイケるな』
栗橋『そ、そうですね・・・』

そう答えたものの、いつも以上に味が分からない。
自分自身の事に加えて、マサキや三国さんの事もある。

みわ『はい、お待たせ。空いたお皿、良いかしら?』
里美『あ、お願いします』

店に入った時の不自然なやり取り。
二人が知り合いなのは、まず間違いないだろう。
それも、あまり良くない意味で。
三国さんは相変わらず姿を見せないし、マサキはトイレに入っている。

栗橋『・・・』

《アリサ》という女性に聞き覚えが無いか聞かれた位で、それきり会話も続かなかった。
無意識に携帯電話を開く。
着信が3件入っていた。
いずれもバルカンズの菊川さんからだった。

西条『円はどうする?』
城咲『そうね・・・あら?』

面倒なので、後で連絡しよう。
そう思って携帯電話を閉じると同時に、扉をノックする音が聞こえた。
確か、今は貸切状態にしてもらっているはずだ。
オカマ店長がドアの鍵を解錠する。

みわ『ゴメンなさいねー、今は・・・』
??『あの・・・』

扉を開けた先に、黒い髪の女性がいた。
歳はオレ達とあまり変わらないように見える。

みわ『いえ、来てないわ・・・』
??『そうですか・・・』

オカマ店長に何かを訪ね、メモのような物を渡している。
その時、西条さんが女性の方を見て表情を変えた。

西条『・・・アイミ?』
??『え・・・あの』
西条『藍美(あいみ)でしょ?西条美月、覚えてる?』
藍美『う、うん・・・久しぶり、みっちゃん』

嬉しそうに手を取る西条さんに対して、藍美と呼ばれた女性の方は何となく戸惑っているように見える。
西条さんの事を《みっちゃん》と呼んでいたので、知り合いなのは間違いないだろう。
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