マサキとユリ(栗橋)

みずき『なるほどねぇ・・・』
栗橋『・・・』

これは、一体どういうシチュエーションなのだろうか。
相手は大先輩とはいえ、仮にも女性だ。
歳だって、そこまで変わらない。

みずき『でね、ここからが本題なんだけど・・・』
栗橋『え?今のが本題じゃないんですか?』
みずき『・・・んな訳無いでしょうが。ちょっとからかうつもりで聞いてみただけよ』
栗橋『・・・』
みずき『それがまさかここまで赤裸々に聞かされるなんて、お姉さんとても想像つかなかったわよ・・・』
栗橋『すみません・・・』

この台詞、今日何回目だろう。
次、会う時がとても気まずい。

みずき『ああ、イヤらしい・・・明日の夕飯は赤飯にしてやろうかしら』
栗橋『・・・』
みずき『本題に戻るわね。ミチコがね、今朝栗橋君の乗った車を目撃したらしいのよ』
栗橋『そう・・・ですか』
みずき『騒ぎがあったせいでちょっとしか見てなかったらしいけど、どうも大学の代表チームにいた人じゃないかって・・・』
栗橋『うーん・・・たまたま停まっていたタクシーに乗っただけなので、顔までは見てないですね』

慎重に言葉を選ぶ。
もし、白ナンバーの事を指摘されたら《見てなかった》で誤魔化そう。

みずき『そっか・・・ところでさ、今朝の騒ぎって何だったんだろうね』
栗橋『さ、さあ・・・』
みずき『信号は消えてたし、事務所の方でもデータが飛んだって騒いでいたけど関係あるのかしらね?』
栗橋『どうなんでしょう・・・』

あの人がらみなのは、ほぼ100%間違いない。
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