菊川『それはきっと、怒りのパワーだよ』
栗橋『そうですか・・・』

色々あって疲れ果てているので、反論する余力すらない。

菊川『近隣の迷惑を考えない連中に対する怒りのパワーが、奇跡を呼び起こしたんだね』
栗橋『・・・菊川さん』
菊川『何だい？』
栗橋『あの女の人、もの凄く怒ってましたよ』

怒号とクラクションが響き渡る中、オレが今朝乗車したタクシーもどきは何とかキャットハンズのクラブハウス前に到着した。
夜中に黄色が点滅しているのを見た事はあるが、何も点いていない信号を見るのは初めてだった。
謎の女性は、運転こそ極めて慎重だったものの

『あのバカ！次会ったら２、３発ひっぱたいてやろうかしら・・・』
『うう・・・後でセンパイの写真見て(以下略)』

などとブツブツ呟いていて、少し怖かった。

菊川『・・・栗橋君』
栗橋『何でしょう？』
菊川『怒りの感情というのは、とても悲しいね』
栗橋『・・・』

次、この人が怪我してたらきっと例の女性のせいだろう。
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