マサキとユリ(栗橋)

菊川『謹慎明けは今日で間違いなかったかな?』
栗橋『はい・・・でも』

どうして菊川さんが知っているのか、それを疑問に思う余裕すら無いのが今の状況だ。
相変わらず外にはマスコミがたむろしており、先程もベランダから顔を出した途端にフラッシュの光が浴びせられた。
練習場までは、タクシーを呼ぶしかないだろう。

菊川『・・・分かった。今から5分経つまでに、全ての電子機器の電源を切ってくれ』
栗橋『電源を・・・ですか?』
菊川『そうだ。マンションから出るのはそれまで待ってほしい』
栗橋『・・・分かりました』

《電源オフ》《5分待つ》とその辺にあった紙に書き込んだ。

菊川『向かいのロー●ンに青いタクシーが止まっている。若い女のドライバーが乗っているはずだから、そうだな・・・《お代は菊川様から頂いております》とでも伝えてくれ』

窓から確認しようとして、思いとどまった。
とりあえず《ロー●ン》《青いタクシー》とメモする。
今の状態では、から●げくん一つ買うのも難しいだろう。

菊川『ああ、それとエレベーターは使わない方が良い』
栗橋『分かりました、階段で降ります』
菊川『・・・それと栗橋君。一つ、聞いてもらいたい事があるけど良いかな?』
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