ある夏の記憶(澄谷)

城咲『今は恋恋高校に通っていて、野球も続けてるみたい』
澄谷『・・・そうか』

彼女達も野球に興味があるようだった。
円の言葉を聞いて、少し安心した。

恋恋高校というと、引退した早川あおいさんの出身校だ。
あの家からは結構離れてるはずだが、寮にでも入っているのだろうか。

城咲『けれど・・・何か隠してるわね、おそらく』
澄谷『隠してる?』
城咲『うん。そんな口ぶりだった』
澄谷『・・・』

その《何か》を知った所で、沙織が戻ってくる訳でもない。
円には悪いが、オレはそれ程真相を知りたい訳ではなかった。

城咲『本当はもっと聞きたい事もあったんだけど、後は野球の話とかリーグの話とかをしたわ』
澄谷『・・・』
城咲『アルバイトも始めたみたい。飲食店だって』

飲食店・・・か。
前にもの凄い髪型をしたファンの人から名刺を貰ったが、キャットハンズの本拠地近くだったのでワタルにあげてしまった。
機会があればワタルに案内してもらおう。

ただ、あの手の店に高校生が働いているとは考え難い。
おそらく、喫茶店かハンバーガーショップ辺りだろう。

城咲『戻りましょ。また何かあれば連絡するわ』
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