もう一度逢うその日まで(澄谷)

一人、川沿いの道を歩く。
もう少し、この辺りを散策してみたくなった。
幾度となく見た風景が、今日は新鮮に感じる。

まずは、黒スーツ女の言う《友達》に会わなくてはいけない。
幸いというのもおかしいが、プロ入りしてからできた友人は数える程しかいなかった。
後は、高校時代の同級生。
今も付き合いがあるのは、ほとんどが野球部の関係者だ。
まずはそちらから当たってみよう。
そして・・・例のラベルの事も。

アドレス帳を見ようとして、携帯電話を開く。
電池の減りが早くなってきたので、そろそろバッテリーを変える時期なのかもしれない。

澄谷『・・・』

画面の中の《彼女》を見てみる。
僅かに写っている腕は、オレの左腕だ。
一緒に撮ろうとしたのだが、ほとんど彼女しか写ってなかった。
そしてその写真を、オレの待受画面に設定した。

『変えたら・・・ダメですよ?』

そう言って手渡された。
以来、そのままだ。

澄谷『・・・?』

突然、画面が切り替わった。
《着信》と表示される。
名前を見て、思わず笑みがこぼれた。
渡りに船、とはこの事だろう。

??『マサキ。今、大丈夫?』
澄谷『ああ。ちょうどオレも円に聞きたい事があった』
城咲『うん、その時話しましょう。実はね・・・』
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