もう一度逢うその日まで(澄谷)

澄谷『・・・!』

喫茶店を出て、駅前までの道を歩いていた途中だった。
突然、隣を歩いていた二神さんに手を引かれる。
そのまま路地裏へと引き込まれた。

二神『・・・』

《静かに》というジェスチャーに軽く頷く。
二神さんの視線の先を見てみた。

??『さすがに、もう無理じゃない?』
??『そうですねぇ・・・』

二人の女性が歩いている。
その片方に見覚えがあった。

??『大体、今何処にいるのよ?』
??『橘さんの所です』
澄谷『・・・』

茶色い髪に青いリボン。
去年、ワタルのマンションから帰る途中に遭遇した女性だった。

??『だったら、まあ・・・安心かもしれないけど』
??『当分は無理そうですね』
二神『・・・』

先程は僅かに微笑んでいたかのように見えた二神さんだったが、今の彼からは感情のような物が全く感じられなかった。
一緒にいる黒髪の女性は初めて見る顔だ。
歳はオレと同じ位だろうか。

??『元々ちょっと不安定なとこあったけど、まさか・・・ねえ』
??『まあ、私としては・・・』

二神『・・・』
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