もう一度逢うその日まで(澄谷)

澄谷『それって・・・』
二神『戸籍上では今現在も存在しております・・・《三国沙織》という女性は』
澄谷『な・・・』

一体何が起きているのか、全く分からない。
周りの世界がかき混ぜられていくような感覚だ。
水を飲もうとしてグラスを掴もうとするも、見当違いの場所を掴んでしまう。

二神『お嬢様の所に向かわれるのであれば、それを調べてからでも遅くはないと思いますが?』
澄谷『・・・』
二神『ああ、それと』
澄谷『え?』
二神『失礼ながら、貴方の御友人を2人程調べさせていただきました』
澄谷『・・・』

先程の墓地での光景がフィードバックする。
オレは、黙って次の言葉を待った。

二神『まず、御一方は・・・おそらく今回の一件には関わっていないでしょう』
澄谷『・・・』
二神『彼女が何らかの事情を知っていれば、と思ったのですが』

《彼女》・・・つまり女性だろう。
プロである程度活躍するようになり、知り合いはそれなりに増えたが友人と呼べるような人物は数える程しかいない。
女性ともなれば尚更だ。

二神『そしてもう御一方ですが・・・大変興味深い事が判明しました』
澄谷『興味深い事・・・ですか?』
二神『ええ・・・。彼自身は、今回の一件と直接関係があるのかは不明ですが』

だとしても、わざわざ調べるだけの何かがその二人にはあったという事になる。
そしてその二人とは、一体誰なのだろうか?

二神『・・・』
澄谷『・・・』

二神さんがコーヒーを飲み終えた。

二神『お待たせしました。では・・・』
澄谷『今日は支払わせて下さい』
二神『ですが・・・いえ、分かりました。ご馳走になります』
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