もう一度逢うその日まで(澄谷)

ついに、来てしまった。
《彼女》に関係のある様々な場所を回ってみたが、ここにだけは来る事はなかった。
受け入れてしまうのが怖かったからだ。
でも、それも今日までだ。

澄谷『・・・』

まずは墓石を掃除しよう。
そう思い、ブラシと柄杓を持ってその場所に向かった。
拓哉が甲子園の試合に出場できなかったのは、停学処分を受けたからだった。
何者かによって学校近くにバラ撒かれた、決して見せてはいけない写真。
それを興味本位で校内に持ち込み、周囲に見せびらかしていた輩に対して・・・というのが理由だ。

澄谷『・・・沙織』

慣れない手つきでブラシを動かし続けた。
思い出を、削ぎ落とすかのように。

《物語は、終わらない・・・》

少し前に何かのCMでしつこい程に聞かされたフレーズが、今日に限っては心地良く感じられた。
そうだ、オレの物語は・・・

澄谷『終わらない・・・』

自分自身に言い聞かせるよう、小声で呟いた。
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